9月に総務省の検討会が著作権保護期間延長を提案した事を受け、著作権の保護期間を「死後70年」に延長を求める動きが出ている。
日本国際映画著作権協会より |
平成15年の著作権法改正により「映画の著作物」に限って「公表後70年」に延長されているが、「死後50年」となっている映画以外の著作権も見直そうという事だ。
そこで「ちょっと待て、死後の延長が本当に著作権者のためになるのか?」という事で声を上げたのが、著作権保護期間延長の議論を呼びかける国民会議。
そもそも「死後50年」の根拠もあいまいなのに「欧米に倣え」で70年にして良いのか?とか思ってたら、チェコアニメ配給会社「チェスキーケイ」の代表である「くまがいマキ氏」ですら「映画の著作権が70年に延長されたことを知らなかった」というのだから驚きだ。やっぱりディズニーの外圧だったらしい。
懸案は期間だけではない。不特定多数のコラボレーションによるアスキーアートや掲示板のスレッド、Wikiなどの著作権をどう取り扱うか?とか、今後ますます関りを深めるであろうインターネット文化や特許権など他の権利との関係を整理する必要もあるだろう。
商業ベースではカバー曲やクラシック音楽をモチーフにしたサンプリングやトランスミュージックが流行る一方で、小学生がブログを持つ時代だ。「1億総クリエーター時代」なんて呼ばれるようになると著作者と利用者もボーダーレスにならざるを得ないし、善し悪しはともかくそれが時代の流れであるような気がする。もはや他人事では無い。
なお総務省検討会の提案には「権利者情報を登録した場合に保護期間を延長する」という例もあるが、小学生でも理解できるような「わかりやすい著作権」にして欲しい。
ちなみに画像は日本国際映画著作権協会の「海賊版撲滅キャンペーン」のひとコマ。映画館で幕前に観せられて正直気分が悪くなるのだが、映画館まで足を運ぶ善良な観客に観せてどれほどの効果があるのだろうか?といつも疑問に思う。
【参照】
●INTERNET Watch http://internet.watch.impress.co.jp/
┣総務省の検討会、著作者情報の登録制度と著作物の保護期間延長を提案 2006年9月8日
┣著作権関連16団体、著作権の保護期間を「死後70年」に延長を求める共同声明 2006年9月22日
┗クリエイターら、著作権保護期間延長の議論を呼びかける国民会議発足 2006年11月8日
●ITmedia http://www.itmedia.co.jp/
┣「著作権保護期間の延長を」――権利者団体が要望書 ネット時代も意識 2006年9月22日
┗「著作権保護期間の延長、議論を尽くせ」――クリエイターや弁護士が団体発足 2006年11月8日
●総務省 http://www.soumu.go.jp/
┗ユビキタスネット社会の制度問題検討会報告書 http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/060905_5.pdf(PDF) 2006年9月5日