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Last-modified: 2024-04-17 (水)


[一語一絵/IT系]

ながさきITモデル / 2005-10-22 (土)

長崎県は「電子自治体構築の基本方針」に沿って電子県庁システムのソースコードを公開した。今回公開されたのは以下のシステム。

  • 統合メインメニュー
  • 年次休暇システム
  • WEB職員録システム
  • データベースダンプ
  • 文書保管システム
著作権は長崎県が保有するが、お馴染み[External]GPLの考えに基づいて無償で利用する事が可能だ。

出島の風景
2004/05/09 長崎市出島にて

これは金子原二郎長崎県知事の肝入りによって[External]日本総研からCIO(最高情報責任者)に迎えた島村秀世氏が発案した“ながさきITモデル”の一環だ。

“ながさきITモデル”で最も注目を集めたのがシステムの仕様策定を外部に発注するのではなく県職員が作成するようにした事だ。これで大手ベンダーが自社に都合が良いように仕様を決めてしまう悪しき慣例を排除し、競争入札も健全になり活性化する事が予想される。また県が率先して案件を小分けする事で、小規模ベンダーにも応札できるようになり、ひいては地場ITベンダーを潤わせまた力を底上げするというビジネスモデルの根幹を成す戦略的な施策である。

一連の案件では狙いどおり[External]ドゥアイネットという従業員10数名の小規模ベンダーが受注して注目していたのだが、こうしてソースリリースに至ったという事からも順調に船出をしたと言えよう。

今回の件は、開発システムをオープンソースとして公開したのが目玉なのだが、一般に公開する事によって経験や資産に勝る大手ベンダーだけでなく、経験の乏しい地場の小規模ITベンダーにも応札をしやすくするという狙いがある。無償なので市町村などの他自治体でも調達コストを下げ、開発期間も短くできるというメリットも期待できる、といい事ずくめのように映るが、発注する自治体側でもそれなりに勉強して眼力を養っておかないと痛い目に遭うのは間違い無い。

後を追う自治体がどれほど現れるか、注目したい。

政府も「e-japan」という掛け声だけでなく、こういう実のある施策を打ち出すくらいの甲斐性があればいいのだが。

【参照】
●日経ITPro http://itpro.nikkeibp.co.jp/
長崎県庁,民間からオープンソースに詳しいITマネジャを募集 2003年1月27日
長崎県,オープンソースの自治体システム構築のビジネスモデル特許を出願 2003年7月23日
「抵抗と戦い自治体の『丸投げ意識』を変えた」!)!)長崎県総務部参事監 島村秀世氏 2004年10月5日
「オープンソースを活用し自治体間でアプリを共有」---米マサチューセッツ州 CIOが「OSSとe-ガバメント」会議で報告 2004年11月19日
オープンソースで育て! 日本のソフト開発力 2005年3月30日
長崎県、電子県庁システムのソースコードを公開 2005年10月21日
●オープンソースベンダーフォーラム長崎 http://osvfn.com/
●株式会社ドゥアイネット http://www.doinet.co.jp/
●マイクロソフト http://www.microsoft.com/japan/
┗シリーズ 電子政府・電子自治体に挑んだ人たち
  第2回 長崎県庁 CIO 自らの仕様書づくりから始まった電子決裁システム
●長崎県 http://www.mm.pref.nagasaki.jp/
メルマガ長崎県 バックナンバー 2003年10月01日 vol.046 2003年10月1日

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1: しん (11/06 04:03)
大学の卒業論文でながさきITモデルのことを扱っているので参考になりました。
参考サイトとして論文にURLを載せることがあるかもしれないので、そのときは
またコメント書きます。
2: YANO (11/06 08:44)
こんにちわ、この記事がお役に立てたのは自分としても嬉しいですが、
ネットの情報を集めて自分の考えを書いただけで、必ずしも事実に基づいてるわけではないですよ。
つまり私も信憑性に関しては100%の保証するところではないという事は認識しておいてください。
論文の裏付けとして採用するのならば少なくともそれなりに信憑性の担保が必要ではないかと思います。
個人のWebサイトに権威を感じるのは改めた方が良いです。
もちろん大新聞社だから100%真実とも限りませんけどね。