いわゆるライブドア事件で証券取引法違反に問われたホリエモンに、一審の東京地裁は懲役2年6月の実刑判決を出した。
判決理由の要旨も読んでみたが、「粉飾額自体が過去に比べ必ずしも高額でない」と言いながら「結果は大きい」としているのも合理的な考えとは思えない。多重事故のきっかけとなる事故を起こしたドライバーには、後続の結果責任まで追求されないんじゃなかったっけ? 民事賠償はともかく。
「脱法」と言うならそんなザル法を責めて改める方向に導くべきであり、そもそもそういう為に証券取引等監視委員会(SESC)があるのではなかったか。そういう意味からもlivedoor ニュース - 東京地裁の堀江判決を批判するには大変共感を覚える。
グレーゾーンを突いたライブドア経営陣を摘発する暇があるんならば、警察にはグレーゾーン金利で荒稼ぎをする金融業者を摘発していただきたいものだ。
ちょうど去年の今頃、約800億円もの粉飾したカネボウ元社長に下った地裁判決は執行猶予3年が付いた懲役2年。180億円の粉飾をものともせず下馬評を覆して上場維持が発表された日興コーディアルしかり。どう考えてもホリエモン、ライブドアとの温度差が際立つ。
確かに社会に与えた影響は決して少なくなかったが、前科も無い若者に対する判決としてはちょっと理解しがたいほどのアンバランスな扱いには、悪意とは言わないまでも裁判官の懲罰的な意図をひしひしと感じる。罪を憎んで人を憎まず。刑事事件では「人を裁く」のではなく「罪を裁いて」欲しかったのだが。
特にマスコミへの情報リークで世論の心証を誘導しようとしている検察側の魂胆が垣間見えたのが今回のライブドア事件。裁判員制度を睨んで被告人の自白偏重から心証偏重に裁判戦略をシフトしている気配がプンプン。
『それでもボクはやってない』を観た後だけに、このままでは裁判員制度そのものが「えん罪」を助長する危うい存在になる事が心配だ。
【参照】
●PJニュース.net http://www.pjnews.net/
┣日興コーディアル粉飾事件、なぜ検察は動かぬ! 2006年12月27日
┣「実刑」と「執行猶予」、ライブドア判決が語る司法の驕った目線(上) 2007年3月18日
┣「実刑」と「執行猶予」、ライブドア判決が語る司法の驕った目線(下) 2007年3月19日
┗東京地裁の堀江判決を批判する 2007年3月20日
●ITmedia http://www.itmedia.co.jp/
┗堀江被告に懲役2年6カ月の実刑判決 2007年3月16日
●asahi.com http://www.asahi.com/ >> ライブドア事件
┣堀江被告に懲役2年6カ月の実刑判決 2007年3月16日
┗堀江被告実刑、判決理由の要旨 2007年3月16日