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Last-modified: 2024-04-17 (水)


[一語一絵/IT系]

日の丸スパコンは本四架橋の夢を見るか? / 2007-10-11 (木)

9月14日に[External]独立行政法人 理化学研究所10ペタFLOPSを目指す[External]次世代スーパーコンピュータのシステム構成を決定したのを受けて、[External]ガートナー ジャパン「日本政府および国産ベンダーは、次世代スーパーコンピュータ・プロジェクトの在り方を今一度点検することを推奨する」という辛辣なレポートを発表している。

来島海峡大橋
2006/5/1 今治市吉海町亀老山展望台にて
本文と画像はたぶん関係ありません

総額400億円の巨費を投じて35.8テラFLOPSの性能を実現し、鳴り物入りで登場した地球シミュレータからはや5年。「4~5年先を見越してもこの地球シミュレータが実効性能では世界最高速のレベルを保てるだろう」と言っていたのもつかの間、[External]2004年秋には70テラFLOPSの性能を実現したIBMBlueGene/Lに抜かれてしまった。

[External]2007年6月現在も地球シミュレータは両手両足で何とか指折り数えられる20位に留まっているが、トップのBlueGene/L280テラFLOPSまで進化しているのを見せつけられると、「世界最高速のレベル」と言うのは少し難しい。

また[External]500傑リストをベンダー別に見るとHPが202、IBMが192システムが導入されているのだが、NECはたった4システムしか入っておらず、世界最高水準の性能を誇る地球シミュレータの成果が全く活かされていない。

IBMBlueGene/Lだけに限っても34システムが入っているのに対して、技術立国を謳いながら国産ベンダーHitachi/Fujitsuを合わせてもわずか15システムに過ぎない現状はもはや事業として成り立っていない情けない状態であり、国家戦略として3社連携プロジェクトを立ち上げるというのはわからんでもない。

しかし、昨年[External]理研は10億円でBlueGene/Lの3倍のMDGRAPE-3を開発しており、さらに[External]5年間で約1000億円を投じると言われているプロジェクトにどれほどの意味があるのだろうか。

公費を使った膨大な開発投資を行ったにも関わらず、それに見合う成果を広く商用サーバーにまで展開できないようならば税金ドロボーと言わざるを得ないのだが。

何の為の、誰の為のプロジェクトなのか。それが問題だ。

【参照】
●日経ITPro http://itpro.nikkeibp.co.jp/
「性能はパソコン20万台分」,地球シミュレータがいよいよ稼働 2002年3月15日
実は世界を1桁リードしているぞ! 日本のスパコン 2002年4月11日
2004年のスパコン・ランキング,米IBM「BlueGene/L」が「地球シミュレータ」を抜きトップに 2004年11月10日
ポスト地球シミュレータを狙い富士通が3ペタFLOPSのスパコン計画 2005年8月24日
次期国策スパコン、開発主体に理研を選定 2005年10月18日
「理論性能は世界一のIBM BlueGene/Lの3倍」---理研が1ペタFLOPSのスパコン開発 2006年6月20日
富士通よ、プロセサ開発を止めるな!――ウォッチャー対談・サーバー・メーカーの明日(前編) 2007年9月26日
再編は不可避、2010年に生き残るのは誰か――ウォッチャー対談・サーバー・メーカーの明日(後編) 2007年9月27日
「政府と国産メーカーは次世代スーパーコン計画の再点検を」、ガートナーが異例のレポート公表 2007年10月10日
●ガートナー ジャパン http://www.gartner.co.jp/
IBM:POWER7で2010年に10PFLOPSを目指すことを改めて表明 2007年10月10日
●TOP500 Supercomputing Sites http://www.top500.org/
June 2007
●独立行政法人 理化学研究所 http://www.riken.jp/
次世代スーパーコンピュータのシステム構成を決定 2007年9月14日