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5日目 2000年 8月15日(火)

YANO、ビビる

日本一の吊り橋(dscn0161.jpg)
8時12分 奈良県十津川村、谷瀬の吊り橋

例の如く7時頃、鳥のさえずりで目覚める。なんて爽やかな目覚めだろう。顔を洗ったあと、のどかな田舎の朝を散歩する。

さっさと朝食を済ませて8時前に出発。泣いても笑っても最終日。万感の思いを胸に、路上の人となる。

朝の凛とした清々しい風を感じながらR168を北上し、15分ほどで今回のお楽しみの一つ谷瀬の吊り橋に到着。日本一の長さ297mを誇る吊り橋で、しかも高さ54m。

駐車場には既に数台のバイクが駐まっている。みんな朝早いねぇ....

管理人のおっちゃんの指示に従ってバイクを駐め、ライダー諸氏と軽く朝の挨拶を交わしたあと、川をのぞき込む。むむっ。それなりに高いが、観光地のワイヤー製吊り橋でもあるし恐いという感じはしないだろう....。

こわっ(dscn0164.jpg)
8時18分 奈良県十津川村、谷瀬の吊り橋

それにしてもキャンプ場が賑わっている事。猫も杓子も…って感じで、まさにアウトドアブームですなぁ。いつまで続くのかな?

駐車場に入る車も次第に多くなってきたし吊り橋の方もどんどん人が渡っているので、遅れてはならじとYANOも吊り橋に挑む。

メインロープはかなり太いワイヤーロープで切れる心配は無さそうだが、やはり足元から見える河原の風景が気になる。四国・祖谷のかずら橋程では無いものの、パキッといってしまいそうな薄い板、カギでも落そうものなら川まで一直線の目の粗い金網に少なからずビビり、何度もポケットやウエストバッグのファスナーを確認する。f(^^;;

距離が長いせいか思ったより揺れ、すれ違ったり追い越したりで端に寄った時など思わずロープに手がいってしまう。おい、そこのガキ、走るなって。

10分ほどかけて怖々と往復し、ホッとしたところで朝のコーヒーブレイク。ふぅ....。f(^^;;

蕨尾温泉公衆浴場(dscn0172.jpg)
9時54分 奈良県十津川村、蕨尾温泉

8時半に再スタートし、交通量の少ないR168を淡々と南下。全般的に薄い雲で覆われていてスッキリしない空模様だが、考え様によっては暑くなくて好都合ということで気を良くする。

9時半蕨尾(わらびを)温泉に到着。小ぢんまりとした銭湯風の佇いが風情を感じさせる。内部は板張りの脱衣所に木製の衣類棚、浴室と浴槽共にタイル張りと、ふた昔くらい前の寮の共同風呂のような素朴な造り。肌ざわりも柔らかい清く正しいナトリウム炭酸水素塩泉だが、泉温61.5℃と熱い故に水で薄めてありヌルッ感が多少薄まっているようなのが残念。

貸切状態で温泉を堪能し、着替え終わったところで地元のおじいさん登場。「福岡から来たんかい?」という事でしばし話をする。こういう触れ合いもまたいいもんである。

蕨尾温泉 奈良県吉野郡十津川村 \200

日本のチベット(dscn0173.jpg)
10時40分 奈良県十津川村、迫西川付近

10時前蕨尾を後に、R425龍神村へ向かう。昨日は崖崩れにより通行止めだったが、今日は規制看板も見当たらないのでそのままR425へ進路をとる。

ここから先、薄暗い西川沿いの谷底をウネウネと走る。それにしても昨日の県道735号と同じくコンビニどころか自販機すら見当たらない、まさに何も無いルートである。にも関わらず、時折思い出したように忽然と現れる民家。ここに住んでいる人々はどういう生活をしているのだろうか? 大きなお世話に違いないだろうが気になるところである。

ポツンポツンと点在していた民家も、標高が高くなると共に少しずつまとまって集落の様相を呈して来る。しかし遠目から山肌に張りつくように並ぶ民家を見ると、まるでチベットの集落を見ているような錯覚に陥る。もちろん、直接的には見た事ないんだけど…

10時45分に牛廻越を越えて和歌山県龍神村へ入る。そこからさらに30分走って11時15分にようやく龍神温泉に到着。45.5km/1時間15分の客観的に考えるとハードな山道ではあったが、昨日の修行を乗り越えたYANOには熊野詣の集大成とも言える楽しい道であった。

龍神温泉、元湯(dscn0179.jpg)
11時53分 和歌山県龍神村、龍神温泉元湯

出雲の湯ノ川温泉、群馬の川中温泉と並んで日本三大美人湯と呼ばれる龍神温泉はさすがにお盆の観光シーズンだけあって混雑していたが、駐車場の隅に難なく駐められた。こういう時に無駄な時間を使わなくてすむのもバイクならではのメリット。

川沿いに露天風呂があるという事だったが、残念ながら既に閉鎖されていた。というわけで、新しい「元湯」の方に向かう。料金はちょっと高いかな?と思うが、設備は広くしかも行き届いていてまずまず満足。

ここにも露天風呂はあるのだが、眺めは大した事無かった。とはいえ温度も程よく谷間の涼しい風に心身ともにリフレッシュした。泉質は蕨尾温泉と同じナトリウム炭酸水素塩泉だが、日本三大美人湯と称されるだけあってヌルヌル感が比較にならないほど高く、実に気持ち良い肌ざわりが◎であった。

龍神温泉元湯 和歌山県日高郡龍神村大字龍神37

\600

TEL:0739-79-0726

フィナーレ

奥の院参道(dscn0183.jpg)
13時57分 和歌山県高野町高野山、奥の院

その後は近くの食堂でお昼を済ませ、12時半に再スタート。いよいよ最後のお楽しみ、高野龍神スカイラインに入る。

龍神料金所を過ぎヒルクライム開始。回転数を少し高めの4000回転以上にキープして深緑の山岳ワインディングを楽しむ。勾配はそれなりに厳しいものの道幅も広くコーナーは大きくて豪快。ここなら1000ccとかの巨大なパワーでも楽しむ事ができるだろう。夏休みのピークにもかかわらず車も少なく、時折現れるファミリーカーをサクッとかわしながら標高1300mまで一気に登る。

ヒルクライム区間を抜けて13時前ごまさんスカイタワーでコーヒーブレイク。ここから稜線を走る爽快なスカイライン区間を楽しんで14時前に高野料金所に到着。

高野龍神スカイライン 龍神料金所

\630

高野料金所

\830

金剛峯寺(dscn0185.jpg)
14時43分 高野山、金剛峯寺

高野山奥の院に到着。中の橋駐車場にバイクを駐め、奥の院までてくてく歩く。夏とはいえ海抜1000m近い高野山一帯は涼しく鬱蒼とした参道ではジャケットを脱いでTシャツ一枚では肌寒いほど。

参道の両側には各種供養塔が立ち並び、なかなか興味深い。例えば、新明和工業の供養塔はロケットの、福助の供養塔は福助の、ヤクルトの供養塔はヤクルトの形をしていて面白い。形以外で感心したところでは、しろあり対策協会に至っては「しろあり」の供養塔を立てている。そうかと思えば奥には筑前黒田家や赤穂浅野内匠頭、豊臣家の供養塔などもあって、まさに弘法大師が高野山に開山してから現在に至るまで1200年の歴史が確かにそこにある事を実感した。

奥の院にお参りして今回の旅の安全と好天に感謝し、14時半に中の橋駐車場まで戻る。さらに総本山金剛峯寺まで少しばかり歩くか…と思っていたのだが、荷物を積みっぱなしなのも心配なので再びバイクに跨がる。渋滞に巻き込まれたとは言うものの、バイクの機動力を活かしても金剛峯寺まで10分かかった。変に色気を出して歩いたりしなくて良かった....。f(^^;;

一足早く色付き始めた紅葉を探しながら金剛峯寺根本大塔金堂などを旅の最後を噛み締めるようにのんびり一巡。しっとり寺社めぐりで落ち着いたフィナーレというのもいいものである。おっとな〜(笑)

一足早い紅葉(dscn0187.jpg)
15時07分 高野山、根本大塔付近

名残りは尽きないものの、意を決して15時半にスタート。R480を快速で下ると途端に暑くなって閉口する。もう少し高野山に居るべきだったか…少しばかり後悔する。

紀ノ川を渡って鍋谷峠を越えると大阪府和泉市。何度か迷ったり休憩したりしながら、18時泉大津港に到着。

無事に乗船手続きを終えて、屋台のタコ焼きに舌鼓を打ちながら出港を待っていると、ドラッグスターのおじさんから声をかけられ、30分程話し込む。

何やら家族をほったらかして五島まで帰省とのこと。たまには一人で気兼ね無くツーリングしたいという事か。独り身にはなかなか実感できないところである。

定刻通り20時泉大津港を出港。速攻で風呂に入って汗を流し、すっきりしたところで夕食。TVで巨人阪神戦を眺めながら時間を潰し、ライトアップした明石海峡大橋を待つ。22時頃にデッキに上がり明石海峡大橋を迎撃。今夜もまた一段とキレイに輝いている巨大な橋が迫って来る。待ってましたとばかりにデジカメのスイッチを入れると…悲劇的なバッテリー切れ。(T_T)

というわけで肉眼で存分に堪能する事になったが、旅の最後を飾るにふさわしい景色だった。これだけの為にフェリーに乗っても損はしないな....。

あとはおとなしく船室に戻って死んだように眠る。次の旅先を夢見ながら。

本日の走行距離 231km

撮影:NIKON COOLPIX 800


エピローグ 2000年 8月16日(水)

定刻どおりに新門司港に到着。

午後から雨の予報だったので、実家に寄ってもヘルメットも脱がずにお土産を渡すだけで、10時頃に無事自宅に到着。やっぱり福岡は暑い。どこか涼しいところに行きたいぞぉ〜。(今行ってきたばかりやんか…)

本日の走行距離  80km

全走行データ 1678km/77.4L/7314円

撮影:NIKON COOLPIX 800

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Copyright (c) 2000 by Yoshihisa Yano