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3日目 2000年 8月13日(日)

飛び道具

今朝は4時頃に目覚める。カーテンを少し開けると外はまだ真っ暗闇で、空には月が輝いている。さすがにこの時間だと目覚めスッキリ…とはいかないのでシャワーを浴びて目を覚ます。すっきりしたところで身仕度を整え、ローソンで買っておいたサンドイッチを頬張って準備完了。

TVの天気予報を見ると台風は東に外れて近畿地方への影響はなさそう。ならば早く起きた事だし、今日もかなり暑くなりそうなので涼しい内に距離を稼いで一気に涼しいところまで行ってしまった方が得策。というわけで今日からはツーリングマップルも関西版にバトンタッチである。

早朝4時半にチェックアウト。月明かりの下で簡単に点検をし、静かにエンジンスタート。こんな朝早くでもご機嫌麗しいようでひと安心。まずはR53を東へ向かい、津山ICから中国自動車道へ。5時勝央SAにピットイン。コーヒーブレイクのついでに給油(9.9L \100/L)も済ませ、早々にコースに戻る。交通量の少ない薄暗いハイウェイを『銀河鉄道999』を口ずさみながら東に疾走。ご機嫌なオープニングラップを飾る。

6時加西SAに着いた頃にはまぶしい陽射しも顔を覗かせた。う〜ん、今日も絶好のお天気(^^)。ご機嫌で朝日に向かって突っ走る。西宮名塩SAを通過すると少し車が増えてきたが、下り方面は既にウンザリするような渋滞の様相を呈していた。こちらはまだ帰省と逆方向なので快調に距離を延ばして吹田JCTから近畿自動車道に入る。

ここからは大阪の中心部を離れるので逆に帰省方向にあたる。気温も上がって蒸暑く感じるようになったとほぼ同時に電光案内板には「香芝ICから渋滞2km」の文字が現れた....。ほぼ予想通りのストーリーに思わずにんまりしながら、松原JCTから西名阪自動車道へ入る。渋滞のお尻をかすめて柏原IC(MAP)で下り、R165奈良県香芝へ突入。

中国自動車道 津山〜吹田 自動二輪 \3,100
近畿自動車道  自動二輪 \400
西名阪自動車道 自動二輪 \300

元来の県民性か奈良では車のペースがのんびりしている。おまけに帰省と思われる県外ナンバーのクルマで交通量も幾分多く、道幅もあまり広くないのでバイクといえどもなかなかペースが上がらない。「郷に入れば郷に従え」ということわざもあるし、「大和は国のまほろば」と詠まれた土地柄に敬意を表し、ここは譲ってのんびりゆこう。

一寸先は霧

ホワイトアウト(dscn0077.jpg)
9時22分 奈良県吉野郡上北山村

山の方に雲がかかっているのを少し気にしながら、当麻町から県道30号線R309を経てR169吉野郡大淀町(MAP)に到着。無論、8月なので桜は咲いていないが吉野桜で有名な吉野である。あたりまえだが山の中なのでだいぶ涼しいのである。時刻はまだ8時前。まさに「してやったり」な完璧な展開にルンルン気分。休憩もかねて早くも本日2度目の給油(9.5L \108/L)。ちょっと高かったがコーヒーをサービスしてくれたので良しとしよう。

しばし休憩の後、8時過ぎに再スタート。空は雲がだいぶ広がって陽射しが遮られている時間が長くなってきた。曇りとはいえ雨の心配は無さそうなので「涼しくていいや」と割り切って走る。吉野山には目もくれず、右手にのんびりした吉野川中流域の風景を眺めながらR169を快調に東へ。川上村に入ると風景は深い谷筋の山深い景色に変わった。信号も交通量も少ない割には路面状態も良好で自然とペースアップ。じっくり吉野の谷のワインディングを堪能した。

9時前に県道40号線、通称大台ヶ原ドライブウェイ入口(MAP)へ。一面の雲で埋めつくされた上空を見上げて溜め息をひとつ。暗さは無いので雨は降らなさそうだが、そう簡単に晴れそうにも無い…結局、ここまで来て雨の気配くらいで引き返すのも間抜けなので、降らない事を祈りつつ先に進む事を決意し、県道40号線へ進入。

大台ヶ原駐車場(dscn0078.jpg)
9時36分 奈良県吉野郡上北山村

R169から入って暫くは木々で覆われて薄暗い。その上狭く荒れた路面はしっとり濡れていていや〜な感じ。少し走ると空も開けて比較的広くキレイな道になってひと安心。だが路面は相変わらず濡れたままで風は涼しいを通り越してひんやりとしてきた。空は相変わらず雲で覆いつくされていて、少し霧のようなガスが出始めた....。

1.5車線程度の道路を快調に駆け上がっていくと、次第にガスが濃くなって結局雲の中に突入。もっとも酷いところでは10m先も見えないようなコンディションで、ハザードを点灯して徐行を余儀なくされる。もちろん期待した雄大な展望など欠けらも観る事ができない。なんてこったい。

途中ではパジェロが対向車と接触事故を起こしていたりしてがぜん緊張感が高まり、先行車に追い付いた後は充分に距離をとって安全策をとったが、結局後ろに付かれるのを嫌われて道を譲られてしまい目論見はもろくも崩れた。

そんなこんなで9時半過ぎ大台ヶ原(MAP)に無事到着。大台ヶ原も肌寒く、売店には火は入ってなかったものの既にストーブが登場していた。ビジターセンターなどブラブラして10時まで回復の兆しを待ったが、結局コンディションは悪いままだし雨になるともっと嫌なので、散策も諦めて下山を決意。

思ったよりも随分早く大台ヶ原を後にする事になったので、今宵の宿を川湯温泉かじか荘YHに確保し、熊野方面に向かった。取り敢えず雨に降られる事が無かったのは幸いといえるが、大台ヶ原にはまた出直しである。

唯一の飛び地

緑の中のR169(dscn0084.jpg)
11時58分 三重県熊野市神川村

30分程でR169に戻り、新伯母峰トンネルを抜けると陽射しも戻ってひと安心。ここからR169は北山川に沿って下る形となる。

陽射しは九州と同様に暑いものの川沿いの風はすこぶる爽やか。すっかり明るさを取り戻した空をバックに交通量の少ない谷間の快適路をご機嫌に南下。

池原ダム11時20分に通過。三重県熊野市を経て七色ダム正午に通過したところで、38府県目の和歌山県に突入。日本でもここだけという村まるごと全体が県の飛び地となっている北山村である。

12時20分道の駅「おくとろ」(MAP)でランチ休憩。特に名物というのはなさそうだが、この先はさらに山深くなりそうなので取り敢えずカレーライスを腹に入れておく。

瀞峡

瀞八丁(dscn0097.jpg)
13時08分 和歌山県熊野川町瀞八丁

道の駅は筏下りの観光客で賑わっているが、そんなのには目もくれず再び路上の人となる。標高もだいぶ下ってだんだん暑くなってきた。こうなると天気が悪くとも肌寒いほどだった大台ヶ原が恋しくなる。まことに勝手なものである。

道の駅「おくとろ」から15分程、13時瀞八丁(MAP)に到着。紅葉の見どころとして有名な場所だが、逆にこの時期の観光客は少なく静かでのんびりできる。

時の流れが止ってしまうかのような幽玄的な雰囲気の中、カヌーが谷底を流れる川を下っている。まさにのどかとしか言い様がない風景をぼんやり眺めていると、時間に追われて気忙しく過ごす日常がバカバカしいとさえ思えてくる。

暫くすると山間の渓谷には似つかわしくないウォータージェット船が大きな音と共に現れ、忙しそうにカヌーを追い越して行った。う〜む....無粋である。

まだ時間は余裕なので、瀞の郷とかちょこちょこ寄り道しながらR169R311と繋いで14時湯の口温泉(MAP)へ到着。

ここはトロッコ列車で行く温泉として紹介される事が多いが、立派とはいえないまでもちゃんと車道があるので車でも直接行く事ができる。細く狭い山道が苦手だとちょっと辛いかもしれないが、R169の狭いところ程度と思ってもらえば大丈夫。

内湯でざっと体を洗ったあと露天風呂へ。展望は利かないが少し温めでゆっくり入る事ができる。ここのお湯も少しぬめりがあってなかなか気持ち良い。山から吹き降ろす涼しい風が湯上がりの肌に実に心地好かった。極楽〜な感じである。

湯元 湯の口温泉 南牟婁郡紀和町湯の口 \300

河原の温泉

川湯温泉(dscn0109.jpg)
15時53分 和歌山県本宮町川湯

14時半過ぎにリスタート。北山川沿いに下った後は、新宮川沿いを逆に遡る形でR311を快調に走る。少しずつ車も多くなり山から里に近づいている事を実感すると同時に、当然ながらまた暑くなってきた。

15時30分川湯温泉(MAP)に到着。

真っ直ぐかじか荘YHにチェックインし、ひとしきりくつろいだ後は川沿いにお散歩。何しろ今日は素泊り。夕食は近所の食堂があるが、朝のパンを仕入れておかなければ!

川はバーベキューやら水遊びやらで大賑わいである。ありゃりゃ、閑静な山間の温泉地を想像していたんだが… さらに写真(手前と奥の白濁した部分が温泉)のように河原のあちこちに温泉が掘ってあるのだが、水着を着ているので風情のカケラも無い....。まぁ時期が時期だけにしょうがないので、ここも出直しという事だな。

おとなしくYHの内風呂に入った後は近くの食堂で夕食を済ませ、ツーリングマップルを開いて明日の予定を練っていたが、どうにも退屈なので明朝真っ先に行こうと思っていた湯の峰温泉(MAP)まで行ってみる事にした。

つぼ湯

湯の峰温泉夜景(dscn0114.jpg)
20時12分 和歌山県本宮町湯の峰

で、思い立ったらさっそく出動。

わずか10分ほどで到着したが、旅仲間から薦められていた「つぼ湯」(写真奥)はあいにく順番待ち列ができていた。共同の公衆浴場もあるのだがせっかくなので明朝「つぼ湯」に再挑戦する事にして今夜は入浴を見送ることにした。ぶらぶらと温泉街を散策してみたが、川湯よりも雰囲気もいいし、お店もあって便利そうである。

写真手前の木枠は卵などを茹でる為の温泉で、近くのお店で卵やトウモロコシを買って茹でる、という訳である。辺りには美味しそうな匂いがしていた…

程なく川湯のYHに戻り、暫くしているとホステラーも数人増えて賑やかになった。積もる話が23時頃まで盛上がり、その後就寝。

結局、朝メシのパンも手に入らないままだし、「つぼ湯」にリベンジを挑んだ後の予定も一切立たないままだが、まぁ何とかなるだろう。Take it easy!!である。

かじか荘YH 素泊り\2800 TEL:07354-2-0518

本日の走行距離 432km

明日への扉

撮影:NIKON COOLPIX 800


Copyright (c) 2000 by Yoshihisa Yano