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北海道 2001夏

2001年8月9日(木)

厳しさ

雨に濡れるミッキーハウス(dscn0122.jpg)
7時08分 北海道浦幌町、ミッキーハウスにて

6時半にスイッチが入ったように目覚める。耳を澄ませても屋根を叩く雨の音はしない…が、外に出てみると残念ながら昨夜と同じように小雨が降っている。さっそくTVを点けて荷作りをしながら天気予報をチェック。昼頃から回復傾向に…という事で明るい兆しもあるが、逆に言うと午前中は雨を覚悟しなければならないという事。

CBのシート下から合羽を取り出し久々に雨の装い。シールドの内側にも簡易曇り止め(石鹸水を塗って濯がずにティッシュでふき取る)も施して万全。その間に他の4台に遅れてしまうが、7時半にスタート。雨のR38に打って出る。前走車の水しぶきを浴びぬよう、車間距離を大きくあけて淡々と走る。朝方なので気温も低いが、さすがに合羽を着ている為全然寒くない。う〜む、合羽さまさまである。

吉野からはR336に別れ、広尾町を目指す。昨日広尾町で殺人事件(参照:Mainichi INTERACTIVE 記事全文)が起こったらしく、マスコミやら何やらで何らかの交通規制が敷かれているのではないかとちょっと不安。

ホントに何にも無いR336(通称ナウマン国道)を快適なペースでダラダラと走る。時折ダンプとすれ違うくらいで、1台だけアメリカンなライダーとすれ違った時は嬉しくて思いっきり手を振ってしまった。さすがにこれだけ何も無いと口ずさむフレーズも『イージュー☆ライダー』の「何も無いな。誰も居な〜いなぁ〜♪」ではなく、『ハジメ人間ギャートルズ』の「なんにも無い、なんにも無い、全くなんにも無い♪」へと変っていた。

「晴れてたら雄大な眺めが広がっているんだろうなぁ」と恨めしそうに空を見あげつつ、広尾町まで淡々と移動に徹する。まさに退屈との戦いであった。

太平洋の荒波の向こうに青空?(dscn0124.jpg)
10時03分 北海道広尾町、R336(黄金道路)にて

広尾町に入ると雨も殆ど上がり、9時には市街地へ。「ここで朝食を摂っておかないと」とロードサイドのオアシスセイコーマートに飛び込み、\128とお買得な日清のカレーヌードルBIGを所望する。しかし、レジのとなりか入口付近によくある電気ポットが見当たらないので、レジで少し照れながら「あの、お湯貰えますか?」と尋ねたところ、なんと背後に立派な自動給湯機があるではないか。排水機能もあって焼きそばも作れるよってとこが憎いねぇ。細かなユーザーニーズに応えつつ合理的な運営はまさに目から鱗。スーパーをも駆逐しようとしているコンビニ成長のカギがこういう細かいマーケティングとリサーチにあるように思う。あっぱれセイコーマート

15分程の朝食休憩を挿んでリスタート。心配した事件の影響も全く無いどころか、とても物騒な事件が起るとは思えないほど静かで平和な町を抜けと、R336黄金道路と呼ばれるようになる。

太平洋の荒波に削り取られた断崖絶壁の下にロックシェードが並び、確かに路面に一万円札を並べたくらいの費用がかかる難工事であっただろう事は想像に難くない。北海道と言えば雄大な大平原をイメージしてしまうが、実際にはこうした人を寄せつけない厳しい海岸線も多いのである。

またこのあたりでは道路に黒い紐のようなものが良く落ちている。よくある荷台用ゴムチューブの切れ端だと思って見過ごしていたが、止って写真を撮っていた時によく見るとなんと日高昆布の切れ端であった。うむむ、さすが北海道。

ブラボー襟裳岬

青空に向かって延びる道(dscn0127.jpg)
10時19分 北海道えりも町、道道34号線にて

えりも町に入ると青空も見えるようになり、ゴキゲンもちょっぴり回復。庶野から道道34号線に別れると青空と雲の勢力が反転。広々とした草原も相まってゴキゲンな風景が広がる。

辛抱していれば、きっとイイ事があるという事かな。

10時半に快晴の襟裳岬に到着し、やっとカッパを脱いで開放感に浸る。風が強いものの久々の陽射しを受けて身体がポカポカとほぐれる。なんとなく森進一が『襟裳岬』で唄った「えりもの春」を想像するが、北海道の冬を知る人に言うと一笑に付されるかな....。

それにしても油断をしていると帽子も飛ばされそうな強烈な風。岬まで行って写真を数枚撮ると早々に駐車場まで撤収し、このツーリングで最後のメジャー観光ポイントなので土産物屋を物色。会社向けとかも適当に買い込んだ後なんとなく北海道限定キャラメルに魅かれてしまい一揃い買い込んでしまう。帰ってから食べ切れずに困るとも知らずに…。

駐車場を出入りするライダー達を見送りながら、「風の館」の陰で強風を避けながらお手紙タイム。またしても寒さと疲労で指が動かんっ!!(いつもの乱筆の言い訳)

(dscn0136.jpg)
10時42分 北海道えりも町、襟裳岬にて

そうこうしていると、今朝ミッキーハウスで別れた仲間もやってきた。

一様に朝とは打って変わった満面の笑みで「晴れて良かったね!!」と一言。同じ道を走ってきた間柄にはこれ以外の言葉は要らない。軽くタッチを交わしてそれぞれの道へとまた別れる。いつかどこかで出逢える期待を胸に。

同室だったBalius君とは、10月に氏のHomepage「Takeshi's Home Page ざっつ、てきとーサイト」を発見しInternetで再会を果たす。意外と世の中は狭い。

葉書を書き終える頃にはまた雲が広がり始めたので、名残りを惜しみつつ12時前にスタート。

土産の入ったバッグにはレインカバー装備済みでカッパもいつでも着られる状態だけれど、少しずつ厚みを増す雲が気になる。が、もうこればっかりは心配していてもしょうが無いので、矢井田瞳『Look Back Again』をBGMにR336をひた走る。

しかし、ツーリングもいよいよ大詰めを迎えたせいか、程なく北の空も涙目に変りポツリポツリと雨が落ちてきた。急いては事を仕損じると言うが、やはり人間諦めも肝心。ロックシェードの中で雨の装いに変身して先を急ぐ。

13時15分浦河町セイコーマートで昼食。再びBalius君を見送る。

サラブレッドの故郷

青空に向かって延びる道(dscn0140.jpg)
14時35分 北海道新冠町、サラブレット銀座にて

そぼ降る小雨の中淡々とR236を走る。三石町を過ぎると、馬をあしらった街灯が静内町に入った事を告げる。国道沿いにもあちこちに牧場が観られるが、さすがにこの天気では観光客どころか馬自体も外には出ていない....。

手近な牧場を覗いて行こうと思ってたのだが、どうやら無理そうだ。空は一層どんよりして薄暗く14時前だというのに街灯まで点灯している。ツーリングマップルのコメント「青い海をバックに馬が放牧…」を読んでさらに恨めしく空を見上げ、大人しく先を急ぐ。

新冠町に入るとなんとか雨も上がった。14時20分トイレ休憩を兼ねて給油(\105*10.95L)。ここで初めてホクレンの旗と地図をGetする。もうここが最後だっちゅのに。

静内でゆっくりサラブレッドを見られなかったので、新冠のサラブレッド銀座で足を留め、駐車場近くの牧場にいたと記念写真。(^^)v

写真で見るとバイクより少し大きいくらいにしか見えないような気がするが、実際はかなりでかい。阿蘇とかで観る馬よりひとまわり大きい感じで、ちょっとびっくり。

終着

鵡川町から道道10号線苫小牧をバイパスし、R235からR234に抜ける。R234の道路工事による片側通行で止っていると、脇を若い女性が乗るママチャリが通過。久々にママチャリを見て「都会に入ってきたんだな」と思ったのだが、よく見るとツーリングスタイル。MTBライダーは見掛けたけれど、さすがにママチャリは珍しい。追い越しざまにエールを送ると手を振って返してくれた。(^^)

最後に温泉でも寄って行こうかとも思ったが、下手に迷って遅くなるとなんなのでコーヒーブレイクに留める。順調に事は運んで17時半江別の友人宅到着。6年ぶりの再会にお互い「変わらんなぁ」と笑う。

ひとしきり落ち着き、近くの南幌温泉へ連れて行ってもらい一日の疲れを癒した後はつぼ八で乾杯し、6年ぶりの再会を祝う。つぼ八なんでそんなに特筆するような品目はなかったが、ほっけの大きさは九州で出てくるそれに比べて倍くらいのサイズであった。さすが、ほっかいどうはでっかいどう。

彼は根っからのゲーマーでYANOはその手の趣味では無いのだが、不思議と息があうのか前社以来未だに付合いが続いている。まぁキッカケはともかく、気のおけない友人というのは何年経っても有り難いものである。47都道府県に友人を持つという目標まではまだまだ遠いが、いつかそうなればいいなぁ。

そういえば6年前はMTBを輪行して行ったのだが、札幌の路面電車に乗った直後に爆睡し車窓を全然覚えていなかったり、ほっかいどガイドを片手にススキノを歩いてひつじやを探したりして楽しかった。もちろんひつじやのジンギスカンは美味かった〜!!。今頃思い出して食べたくなったりして。f(^^;;

本日の走行距離 377km

撮影:NIKON COOLPIX 800

明日への扉


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