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北アルプス 2001

2001年5月3日(木)

静けさに…

雪見風呂(dscn0087.jpg)
6時06分 大石館露天風呂にて

さすがに明け方は冷え込むなぁ…と思いながら瞼を閉じていると、じゅんくんが寝言で「ゆきえ!」と叫んだ。寝言で彼女の名前を呼ぶなんて古典的な…と笑いを堪えていると、更に大きな声で「雪降ってるよ!」

慌てて布団から抜けだして障子を開けると、見事なまでにしんしんと大粒の雪が降っていた。どうりで川のせせらぎも静かなはずである。全員顔を見合わせて....もう笑うしかなかった。

泣く子とおてんと様には敵わないと開き直り早速露天風呂へ。何年ぶりかでしかも朝から雪見風呂とは誠に贅沢この上ない事である。八百万の神々様に感謝のこころ。

雪景色(dscn0084.jpg)
8時54分 安曇村白骨温泉、YH大石館

風呂上がりにロビーの方へ行って情報収集。

どうやら乗鞍スーパー林道は除雪作業の為通行止めとなっている様子だが、沢渡へ下る県道は大丈夫との事でひと安心。取り敢えず、下界へのルートは開けている。

朝食を済ませると今度はTVの天気予報をチェック。昼頃には回復するようだが午前中は雨模様という事で雨装束を覚悟。しかしのんびりして遅めの出発準備を始めた頃には雪も上がり、薄日まで射し始めていた。なんてラッキーな。(^^)

出発前の記念写真(dscn0087.jpg)
9時 大石館玄関にて

9時半にドライスタイルで出発。

さすがに温泉地だけあって道路に温泉を撒いて融雪は完璧。しかしビショビショなので細心の注意を払いながら、トロトロ下るクルマに続いてトロトロ下る。

登りよりゆっくり走って無事に沢渡に抜けると、R158は完全にドライコンディション。さっきまでの雪景色は何?と思いながら、狭く走りにくいR158を下る。

早くもコンボイに混ざりウンザリしてきたところで10時奈川渡ダム梓川テプコ館で早くも休憩。やはり雪こそ降ってないとはいえ、寒い寒い。聞くところによると今朝の気温は3℃だったらしい....日本はまだまだ広い。

安曇野

リンゴの花(dscn0104.jpg)
11時06分 南安曇郡梓川村

ここでじゅんくんの携帯から九越フェリーに電話する。直江津博多航路のスケジュールを確認すると明日の便は無いという事なので、今夜の便で帰投する事が決定。というわけで、これから直江津方面に向かうのである。

ちょっと後ろ髪惹かれる思いはあるが止むを得ない。何事も腹八分が吉。欲張りは失敗の元。と自らを言い聞かせ、出発。

新島々を過ぎると、さっきまでの寒さがウソのように快適。波田の交差点を左折。R158に別れを告げて、県道25号線からサラダラインへと進路をとり、リンゴ畑の中をのんびり走る。5月上旬はちょうどリンゴの花が咲く時期で、道路の両側が白い可憐な花で包まれていた。リンゴの花って初めて見たような気がする。

菜の花畑(dscn0105.jpg)
11時11分 南安曇郡梓川村

しばらく行くと菜の花も咲いてたりして、春を待つ北アルプスから、遅い春を迎えた安曇野へとステージと共に季節も移った事を知った。

ちょこちょこ道を間違えたりしながら、12時穂高温泉郷に到着。しゃくなげ荘で温泉休憩。ここは町営の宿泊施設なんだが銭湯のような雰囲気もあり昼間から老若男女でそこそこ賑わっていた。ちょっと熱く感じたお湯も、少しすると実は温めである事がわかった。意外と体が冷えていたという事である。そういえば少し肩もこってきたかなぁ?

しゃくなげ荘 大人\400 南安曇郡穂高町大字有明7722 TEL:0263-83-2050

安曇野の風景(dscn0109.jpg)
13時00分 南安曇郡穂高町、北アルプス牧場

一息ついたところでお昼の時間。取り敢えず来る時に何げなく気になった北アルプス牧場でソフト(\300)休憩。一個で満足感を充分得られる濃厚な味わいの九州のソフトに対して、もう一個いけそうなサッパリとした後味が新鮮。かといってミルキー感はしっかりあってこれはこれで充分ウマい。こういうところにも土地柄の違いが現れているのであろうか?

北アルプス牧場 南安曇郡穂高町大字有明8208-5 TEL:0263-83-7571

それから満を持して大王わさび農場でも行ってそばでも喰いますか〜!と行ったはいいが、大王わさび農場って観光地だったのねぇ....って感じの大賑わいですっかり幻滅。北アルプスの麓に広がる安曇野のどかな雰囲気を期待していたのになぁ....。

結局、駐車場に入ったもののバイクを下りる事も無くリスタート。じゅんくんの「お昼食べようよぉ〜」という視線を背後に感じつつ、R147を北上する。しかしどこまで行ってもよさ気な店どころか、コンビニすら見当たらず、結局14時前に国道沿いのドライブインでやっつけでお昼を済ませる。案の定、まずかった....。

北アルプスとの惜別

雲に隠れる北アルプスを望む(dscn0116.jpg)
15時15分 上水内郡小川村、アルプス展望広場

この後は白馬方面は諦めて、名物戸隠蕎麦に舌鼓を打つべく戸隠へ向かう事に決定。

大町R147に別れを告げ県道31号線へと進路をとる。この県道31号線は長野と白馬を結ぶオリンピック道路として整備された幅広2車線の快走ロード。「何も無いな、誰もいな〜いな」(from 『イージュー★ライダー』)な気分で豪快に標高を上げる。

空は隙間なく雲で覆われているものの気分はゴキゲン。2台あわせて8気筒のホンダサウンドを木々にこだまさせ、小川村県道36号線にスイッチ。更に標高を上げてゆく。

ヘアピンコーナーを立ち上がり気合一発アクセル全開!登り勾配も手伝って少し浮き気味のフロントを押え込むように加速…してると、左手に北アルプスを視認。アルプス展望広場であった。

残念ながら厚い雲に覆われて北アルプスの全容を拝む事はできなかったが、雪化粧の一部だけでも垣間見る事ができ、改めてここまで来て良かったと思うのであった。

再び県道36号線を北上。高山寺を過ぎると山間の狭路となり、そこはかとない寂しさが漂う静かな集落を縫うように走る。しかし、立派な鯉のぼりも立っていて、「清く正しい日本の山村ここにあり」という感じで、ちょっと嬉しい。

程なく鬼無里(きなさ)村に入り、R406との併用区間に入ったところで久々の信号待ち。信号を待っている間になぜかしら心魅かれる雰囲気を感じ、「ちょっと写真でも撮っておこうか」と思い、信号を抜けたところでバイクを駐める。

ヘルメットを脱いでいるとどこからかお囃の音が聞こえてきた、と思ったら近くの神社から山車が出てきて目の前を通っていった。ちょっと山車行列に付いて写真を撮ったりした後、偶然にも年に一度の春祭りに巡り合った幸運に感謝すべく、鬼無里神社を参拝した。

結局15分程の滞留となり16時にリスタート。

戸隠蕎麦

戸隠蕎麦(dscn0133.jpg)
16時30分 上水内郡戸隠村、よつかどにて

大望峠を越えて20分ほどで戸隠村に到着。長野方面とぶつかる交差点で足を止め、「さて蕎麦屋を探そうか?」と振り返るとじゅんくんがすぐ左にある蕎麦屋を指差している。

「え〜、そんな手近なところで安易な…」と思いつつも、昼メシでは策に溺れて食いっぱぐれかけた経験から、ここは大人しく運を天に任せる事にする。その蕎麦屋は交差点の角にあり、屋号はズバリ「よつかど」。店構えは立派な鉄筋建築だし、クルマも何台か駐めてあるので、そこそこ繁盛しているんであろう。というわけで期待は中くらい。

早速店内に入り、「盛りそば大と、そば団子」を注文。10分程待ったところで待望の戸隠そば登場。

2個食べた後、慌てて撮った(dscn0135.jpg)
そば団子

能書きはさておき(もう忘れた)、薬味をささっとツユに入れてさっそく一口。しっかりした歯応えと蕎麦の風味が感じられる。うまい。

そう、うまいか、まずいかと問われれば確かにうまいのは間違い無いのだが、ツユが少し辛く感じたせいか、もう一つ好みにあわなかったような気がする。というわけでYANO的蕎麦ランキングでは山形小諸、かなり差が開いて戸隠の順です。

しかし、そばの切れっ端を練り直して油であげた「そば団子」(\400)の方は、甘辛いタレと相まって絶品であった事を付け加えておく。

そば処 よつかど 上水内郡戸隠村大字戸隠2179-4 TEL:026-254-2145

さらば、信濃よ

野尻湖(dscn0136.jpg)
17時45分 上水内郡信濃町、野尻湖にて

お腹も満足したところで17時リスタート。深い森に包まれた戸隠高原を駆け登る。ここの先も2車線の快適ロードで、太陽の陽射しの下であればどれほど爽快だろう?と思いながら走る。そして標高が1200m近くになるとうっすらとガスに包まれ、シールドに水滴がつくようになった。

いよいよ雨か?と不安になったものの、ピークを越えて標高が下がると共にガスも晴れ、ドライスタイルのまま信濃町へ。県道36号線からR18に入り、17時40分にナウマン象の化石が出土した事で知られる野尻湖で小休止。缶コーヒーを片手に夕暮れの静寂に包まれた湖畔に佇むと、旅の終わりのセンチメンタルな気分に一層拍車をかける。な〜んて、YANOらしくないね。

フェリーの出港から逆算するとまだ1時間以上余裕があるので、赤倉温泉に寄って最後にひとっ風呂浴びてゆく事にして、早めに野尻湖を後にする。

再びR18を北上。信濃の国に別れを告げ関川を渡る。越後の国へと進行すると、シールドを細かい水滴が濡らし始めていた。

20分程で赤倉温泉の大野天風呂「滝の湯」(\800)に到着。大野天風呂というだけあって、広い湯船だがお湯が温い。小さい湯船はやたら熱かったようなので、時期的にわざと温くしてあるのかな? 展望も効かないし、この程度で冬場ならともかくレギュラーシーズン\800というのは教育的指導に値する。ぷんぷん。

乗船待ち(dscn0141.jpg)
21時02分 上越市、直江津港

サッパリしたところで再びレインスタイルに変装。夜の帳が降りたR18を再び北上する。上信バイパスに入ると信号もほとんどなく、降りしきる雨の中を淡々と法定速度キープで走り続ける。この旅最後の試練であるが、昼間は持ちこたえてくれた事を思うと、これくらいの雨は何でもない。

上越市に入ると不思議と雨も上がり、星すら見え始めた。計算通り20時直江津港に到着。

乗船手続きを滞りなく終えた後、出港までまだ時間があったので一人で本屋を探して「頭文字D」の21巻を買いに行く。それからセブンイレブンでおにぎりとお茶等を買い込んで20時間の船旅への備え万端。

21時過ぎに乗船開始。船室でライトな夕食を済ませた後は、ツーリングの余韻に浸るように就寝した。

雨で出鼻をくじかれたり、予定外の2人旅になったけれども、やっぱりツーリングに出て来て良かったなぁ。

九越フェリー TEL:092-643-7090
2等自由\11,260(JAF割引10%で\10,140)/二輪車(750cc未満)\10,210 

本日の走行距離 224km

撮影:NIKON COOLPIX 800

明日への扉


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