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北アルプス 2001

2001年5月1日(火)

希望の夜明

朝焼け(dscn0004.jpg)
5時25分 大阪府泉大津市、泉大津港にて

4時半、頭はスッキリしないまま取り敢えず顔を洗ってデッキへ出ると、東の空にはおあつらえ向きな朝日が迎えてくれていた。またしてもしてやったりな展開に、自然と笑みがこぼれる。カッパを荷物の奥にしまい込み、急く気持ちを押えるように朝のコーヒーで一服。

定刻の5時半泉大津入港し、サンダーバードのテーマ曲と共にフェリーから飛び出す。阪神高速\100をけちって泉大津ランプを素通りし、助松の交差点を右折して堺泉北有料道路へ。片側2車線の自動車専用道に入り俄然ペースアップ。

程なく阪和自動車道に合流。早朝にしては思ったより交通量がある。話題のUSJ目当ての行楽客と思しきファミリーカーあり、どうみてもお仕事なトラックあり、GWに挟まれた平日早朝の混沌とした車の流れを縫うように2台のバイクが朝日に向かって駆け抜ける。

順調に距離を延ばして、6時20分西名阪自動車道香芝SAで最初の休憩。ヘルメットを脱ぎ張り詰めた緊張感を解放したところで、思わずふうっと大きく一息。頭上には旅立ちを祝福するような青空が広がっていた。

堺泉北有料道路 \100
阪和自動車道 堺〜松原 \400
西名阪自動車道 松原〜天理 \600

鬼門の伊賀

じゅんくんとCBR400RR(dscn0007.jpg)
7時9分 奈良県山添村、五月橋PAにて

ツーリングモードのスイッチが入ったのを確認して再スタート。天理から東はいわゆる名阪国道一般国道であるにも関わらず交差点も信号の無いゴキゲンな自動車専用道である。じゅんくんの駆るCBR400RRと先頭交替しながら、『イージュー★ライダー』のリズムに乗った大人の走りで東へ向かう。時折現れる「走るシケイン」も、「僕らは自由を〜♪」と口ずさみながらサクッとパス。

山間部に入ると共にちょっと曇ってきたなぁ〜と空模様が気になっていたが、過去3回毎回雨に降られている鬼門の伊賀上野を前にして、またしてもどんよりどんよりしたいや〜んな雲が垂れ込め始めた。気のせいかシールドに点々と何かついているような…

7時過ぎ、先行したじゅんくんがたまらず五月橋PA(MapFan)に飛び込んで、トイレに駆け込む。山深いこのあたりは気温も少し低く、5月とは言えまだこの時間帯の高速走行はちと寒い。が、それ以上に気になるのが暗転した空模様。シールドに点々と付いていたのも悲しいかなやはり水滴だった。

100%の確率で降られている経験からすると、もう少し東のまで行くと空模様はウソのように回復する。今まではここまで辿り着く前に降り出していた事を思えば、降り出す前にまで抜けられそうな気がする

というわけで早々に再スタート。更にペースアップして2台のバイクを東へと走らせる。ちょっと先を急ぐんでごめんなさいよ〜、てな感じで伊賀忍者の郷をアグレッシブに慌ただしく走り抜け、思惑通り無事に関町へ。「とらうま」に臆しなかった前向きな気持ちの勝利であった。

じゅんくんとCBR400RR(dscn0012.jpg)
10時11分 愛知県小牧市、マクドナルドにて

そのまま道なりに走り亀山ICから東名阪自動車道となる。自動発券機から受け取った通行券をポケットにしまって名古屋に向かって一直線だがや〜と改めてスタートを切ったが、そ〜いえばここまでガムを噛む事こそあったが他には2時間飲まず食わず。本格的な高速区間を前にちっと一息入れるべ、と7時45分亀山PAで休憩。ココアなんぞ飲みながら、この先のルートを確認する。と、じゅんくんが妙に落ち着かない素振りでウロウロ。何を悩んでいるのかと思っていたら鯉のぼりが欲しかったらしい。「高速を降りてからの方がいいんじゃないの?」と言ったのだが、しばらく悩んだ挙句に意を決して購入。取り敢えず高速区間では旗めかないように注意深くバイクのリアにセットした。

8時10分亀山PAをスタート、したものの早速次の御在所SAにピットイン。関西中部版の高速道路エリアマップを入手する為である。案内所からバイクに戻ったYANOの目には悲しげなじゅんくんの姿が....。早くも鯉のぼりの矢車を失ったようだ。ほ〜ら、言わんこっちゃない。

気を取り直して名古屋に向かって一直線だがや〜とスタート。再び『イージュー★ライダー』を口ずさみながら、80〜100km/h前後で淡々とクルージング。揖斐川長良川木曽川を渡って山田東ランプで高速区間に別れを告げる。

東名阪自動車道 亀山〜名古屋西 \1250
名古屋均一区間 \400

9時頃、の交差点を左折しR41を北上。小牧市に入ったところで給油(11.4L \98/L)の後、マクドナルド小牧インター店で朝マック。腹ぺこの2人は一瞬にして食べ終わる。

落ち着いたところで飛騨古川YHに電話して今宵の宿を確保。あとは安心してそこまで至るルート設定をするだけである。とはいえ、ルートはR41を北上するだけなので選択の余地は無く、じゅんくんがここだけは外せないと並々ならぬこだわりを見せる下呂温泉を踏まえて、途中でもうひとつ温泉に入って行こうかという程度である。改めてルート設定と言うほどのものではない。

飛騨路

10時15分に空模様を反映してるかのようなアンニュイな気分に別れを告げて再スタート。引き続きR41を北上する人となる。しばらくは交通量も多く我慢の走りを強いられるが、美濃加茂市を抜けると快適なペースに。右手に飛騨川を見ながらゴキゲンなクルージングを楽しむ。空も5月らしい陽射しを取り戻し、やっとツーリングらしくなってきた。(^^)

しかし、あまりに淡々と走っていた為に少し眠気を感じてきた。まだ昼前とは言え今朝は5時半から走っているので無理もないと言えよう。というわけで、白川温泉で大休止を目論むが、なんとなくR41から温泉街に入りそびれる。それでも案内所かなにか無いかな?と思いながら走っているとだんだん何もなくなってきた。11時半を過ぎて「こりゃいかん、引き返すか!」と思ったところに現れた美濃白川スポーツ・スパランド(MapFan)に予告無くピットイン。ここはいわゆる第3セクターの新しい温泉健康施設。泉質的には特筆するものは無くちょっとカルキ臭があったのがイマイチだが、通常の内湯と露天風呂もあり施設は充実であった。

入浴後はすっかりほぐれてしまった体を休めるべくそのまま2Fのレストランで昼メシに突入し、そばとミニ丼のセットを食べた。(ような気がする…) 隣接するミニゴルフ場のグリーンの芝生がやけにキレイだったのが印象的だった。いや、ゴルフはやんないんだけどね。

美濃白川スポーツ・スパランド 大人\400 岐阜県加茂郡白川町河岐2−4 TEL.05747-2-1500

噴泉地(dscn0015.jpg)
13時39分 岐阜県益田郡下呂町、下呂温泉にて

かなり重くなった腰を上げ、再びR41を北上。少しずつ幅が狭くなてきた飛騨川が、美濃から飛騨へと入った事を物語る。そう、ここは紛れもなく飛騨路である。

やはり飛騨路をイメージする歌といえば、演歌の名曲『奥飛騨慕情』by竜 鉄也。思わず「あ〜ぁ、奥飛騨にあ〜めぇが降る〜♪」と口ずさみつつ、「雨降ったらいかんやん」とセルフツッコミも忘れない。な〜んて独り上手していた事はじゅんくんですら知る由もなかっただろう。

13時半じゅんくん待望の下呂温泉に到着。取り敢えず駅に向かい観光案内所で情報収集。何やら川沿いに噴泉地という無料露天風呂があるらしいので、取り敢えず行ってみる。ご覧の通り何ひとつ隠すものが無いまる見え状態。まぁそれだけ考えるとお馴染みの天ヶ瀬と同じと言えなくはないんだが、そこは天下の名湯として名立たる下呂温泉。いかんせん人通りが多くて躊躇してしまう。

で、結局「クアガーデン露天風呂」へ。比較的新しい小奇麗な日帰り温泉施設だったが、思ったより小ぢんまりとした大きさでそれなりに混んでてあまりゆったりとはいかなかった。泉質としては感触・臭いとも天ヶ瀬温泉とよく似た好印象だったが、ただ施設としては\600というのはちょっと高いかな?\300「白鷺の湯」に行った方が良かったかな?という気がする。この辺は残念ながら行き当りばったりによる下調べ不足が顕著に現れた結果と言えよう。

クアガーデン露天風呂(下呂温泉株式会社) 大人\600 岐阜県益田郡下呂町湯之島 TEL.0576-24-1182

サッパリしたところで14時半頃再スタート。さらにR41を北上し、飛騨の小京都高山市、いわゆる飛騨高山を目指す。ここまでと同じように信号も少なく淡々と流れるR41だが、川幅は狭く谷は急峻になり、少しずつ山深くなっている事を如実に感じさせる。

そして飛騨高山

飛騨の里で記念写真(dscn0022.jpg)
16時00分 岐阜県高山市、飛騨の里にて

奥飛騨の叙情的な雰囲気に浸ってツーリング気分も一段と高まってきたところでじゅんくんの挙動が怪しい事に気付き、15時15分に道の駅「飛騨街道 なぎさ」で一息入れる。どうかしたの?と聞いたら、予想通り睡魔に襲われていたようだ。例え快適に走っていても単調なペースでは集中力が途切れてしまうのである。油断は禁物。

ちょうど一緒になったGB500乗りの渋いオヤジさんとしばし歓談。かなりの御年配と拝見したが、これからまだ金沢まで走るんだ!と気合充分。最近ハーレーとかビッグアメリカンでつるむ中高年ライダー諸氏が増えているが、やはり日本の風景にはこういう小柄なライトウェイトを一人転がすっていうのがいいねぇ。これこそ現代的なってヤツかもしれない。

気分もすっきりしたところで再びR41を淡々と北上。太平洋に流れる飛騨川水系と日本海に流れる宮川水系とを分ける分水嶺宮峠を越え、30分程で高山市へと入る。

飛騨高山は3回目くらい?だと思うが、実はYANO的にはそれほど魅力を感じない街である。が、飛騨デビューであるじゅんくんがどこか行きたいと言う。何度か来た事があるとはいえ街の中を案内できるほどの記憶は無いし、彷徨えるだけの時間も無い。取り敢えず「合掌造りを移築して観られる施設があったな?」というおぼろげな記憶を頼りに市街地を突き進むと飛騨の里という案内板を発見。「そこだ!」と告げる野生の勘を頼りに、誘われるままに16時前に到着。

大通りから曲がってすぐのところにある民俗館前駐車場に入るが、駐車車輌が少なく周囲も観光地にしては妙に寂しい雰囲気なのでもっと先まで行けるに違いない、と思い速攻Uターン。と、後続のじゅんくん思わず立ちゴケしそうになる。すまん。f(^^;;

程なく急坂を300mほど登って飛騨の里駐車場に到着する。が、入口のゲートに思わず(有料?)躊躇。すると詰所から管理人のオヤジさんが颯爽と登場し、「詰所脇に駐めといていいよ」とのありがたいお言葉。しかも「先週来た人が忘れて行った」という事で「ツーリングマップル中部北陸版」までくれると言う。ありがたやありがたや。ここはマップ無しでやってきたじゅんくんに譲って、飛騨の里に入場。

既に営業終了まで1時間となった飛騨の里は観光客もまばら。まぁそれはそれでちょっと物悲しげな奥飛騨の雰囲気は味わえたかな?と思うが、どうも移築したモノという先入観からか貴重な合掌造りの民家も風景に馴染んでいないような気がしてならない。白川郷五箇山まで行く気力は無いけど、取り敢えず合掌造りの民家が観たい…という人ならオススメ。

サラッと一回りした後は、土産物屋を物色。じゅんくんに誘われ、取り敢えず食べとこうか…という感じで飛騨牛の串焼きを食べた(奢ってもらった)が…肩透かしに終わる。逆に胃を刺激したのか余計に空腹感が募り、今宵の宿へと急ぐ事にする。

飛騨の里 大人\700 岐阜県高山市上岡本町1-590 TEL.0577-34-4711

奥飛騨恐るべし

ユース外観(dscn0029.jpg)
岐阜県古川町、飛騨古川ユースホステル

17時飛騨の里を出発し、またまたR41を北上。飛騨細江駅前で左折して、川を渡ってT字路を右。次のT字路を左に折れ、高山から30分程で飛騨古川ユースホステルに到着。途中に案内板が無くてちょっとわかりづらかったが、コテージ風の洒落た建物でちょっといい方に予想外れ。(^^)

ペアレントさんの話によると今夜は満室になったらしい。チェックインのカードに記入しながら、朝一で予約を入れて正解だった、と胸をなで下ろす。取り敢えず風呂を済ませて談話室で他のホステラー氏と歓談。名古屋・関東方面からバイクで来ている人が多いようだ。しかし何はともあれ気になるのが明日のお天気。TVが天気予報を告げる度に、みんなの会話が止まり視線がTVに注がれる。

ところが皆の願いを打ち砕くように「明日から天気は下り坂で、夕方からはどこもかしこも雨」という悲しい予報。万に一つの望みを託して他のチャンネルにも変えてみるが、当然の如く同じ予報に終止する。(;_;)

しかし、くよくよしてばかりいてもしょうがない。晩飯を喰って明日への活力を取り戻すのだ。運良く女性2名と一緒のテーブルになり、華やかなディナーである。一人は中央道上信越道北陸道と高速を乗り継いで湘南から一日でやってきたワインレッドのCB400SF乗り。じゅんくんと名古屋のDJEBEL氏も交えてツーリング談義で盛上がる。

夕食(pic00019.jpg)
ユースホステルのディナー
Photo by じゅんくん

食後はじゅんくんと明日以降のルートを検討する。まずは大筋での方向を考えるべく帰路のフェリー選択である。つまり大阪発にするなら南信州方面、直江津発にするなら北信州方面に向かわねばならないというワケ。しかし、結局明後日以降の天気予報は当てにならないだろうという結論に達し、帰路の選択は明日まで保留する事にする。

という事で取り敢えず明日は移動距離を控えめにして、長野県側に入ったところで留める。そうしとけば北信南信どちらにでも動けるし、何より雨が降り出す夕方前には宿に入れるだろう、という目論みである。そして1999年の夏に泊って好感触であった白骨温泉大石館YHにターゲットを定め、電話一発で見事に予約Get。(^^)

これで明日は自動的に新穂高温泉から平湯温泉を周って白骨温泉と奥穂高の温泉三昧となる事が決定し、あとは他のホステラーと「どこ周ってきた?」「明日はどこに行く?」と延々と情報交換を繰り広げた。

ここでDJEBEL氏からR360天生(あもう)峠は未だに積雪通行止だったという事実を知って驚く。つまり合掌集落の白川郷へは高山まで戻ってR158松ノ木峠を越える1時間以上の遠回りルートとなるのである。いや、今回は白川郷には行かないんで特に影響は無いんだけれど....。安房トンネル開通で重要度が下がったR158安房峠は致し方ないとしても、GWの観光シーズンを迎えても通行止めとは…奥飛騨恐るべし。

ちなみに今年のR360天生峠は6/1に開通しているが、7月までは防災施設補修の為に時間帯通行止なんだそうだ。詳しくは下記岐阜県河合村のホームページから交通情報を参照。また参考までに乗鞍スカイラインは5/15の開通。なお2003年には無料化される予定だが、同時に上高地と同様マイカー規制を行う方向で話が進んでいるようだ。(2001年6月現在)

夜も更けていつしか空には満天の星が…、という期待むなしくひとつも無い。(;_;) 取り敢えず「雨だけは降ってくれるなよ」と祈り、カエルの大合唱をBGMに眠りに就いた。

飛騨古川ユースホステル 1泊2食\4,800(会員) 岐阜県吉城郡古川町信包180森林公園前 TEL.0577-75-2979

本日の走行距離 372km

撮影:NIKON COOLPIX 800

明日への扉


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