消えた送電線

昨年2月に電子国土ポータルで公開された電子国土基本図(地図情報)では送電線が表示されていないらしく、この度送電線の復活を決めた国土地理院にまずエールを贈りたい。

さて、そのあたりの経緯を紐解くと電子国土基本図(地図情報)に関するFAQによると

電子国土基本図(地図情報)は、2万5千分1地形図に表示されている「送電線」、「岸高・比高」、「記念碑」、「植生界」、「輸送管」などの項目が省略され、新たに「踏切」、「高層建物」、「公園」などの項目が表示されるようになります。このほか「橋」、「高塔・煙突」、「土崖・岩崖」などの項目は、取得の規模が変更されたことから、2万5千分1地形図に取得されていても、電子国土基本図(地図情報)に表示しない場合がでてきます。

となっており、Q3-2 電子国土基本図(地図情報)で送電線が表示されないのですが?によると

今回公開した電子国土基本図(地図情報)には、仕様の変更により送電線は表示しておりません。  ただし、送電線が表示されたこれまでの2万5千分1地形図情報を閲覧される場合には、同じ画面にある「2万5千分1地形図を表示」を選択していただければご覧頂けます。

と表面的には「仕様変更」を伺わせる文面だ。

但し、これは国土地理院の意向に基づく仕様という事では無くテロ対策を根拠とした電力会社の情報提供拒否という事情によるもので、同様の理由で一部の発電所や変電所も消えているらしく、また「テロ対策」ならば電子版だけの問題では無く現実に即した更新が出来ていなければ最終的に紙ベースの地図からも消えてしまう恐れが高い。

送電線や鉄塔は登山やハイキングではお馴染みの目印。昔と違っていろんな電子機器が普及したとは言え、遭難時の電池切れなどを考えると紙の地図や大きな目印は欠かせないものであり、所有者とは言え電力会社の一存でその記載を拒否するのは公共の利益に反すると言わざるを得ない。

携帯電話やポータブルナビなどGPS技術が普及したからと言って「地理的目標物」の重要度は下がったかもしれないが、かと言って歴史的な価値や存在意義をぞんざいに扱われるのは悲しい事であり残念。その点「地図の基本は未知の案内、道案内」とはうまく言ったものだ。

どうせ現場に行けば誰でもが見られるので地図から隠したところで「テロ対策」としての効果は薄いのだし、たとえ現場に行かなくても空からも丸見えなのだからGoogle Mapで航空・衛星写真からプロットするとか、それなりの人がその気になればいくらでもやりようはあるので、良くも悪くも補完は時間の問題だったんじゃないかと思う。

というより、原発を任せている電力会社が「まだその程度の想像力すら無い」事が激しく心配だ。

参照

朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/

毎日jp http://mainichi.jp/

田代博のホームページ http://homepage3.nifty.com/tasiro/

送電鉄塔見聞録 http://transmltkbr.sakura.ne.jp/

国土地理院 http://www.gsi.go.jp/

電子国土ポータル http://portal.cyberjapan.jp/