Topに戻る 波照間編, 小笠原編, 宮古,与那国編

島旅2002〜小笠原編

おがさわら丸

おがさわら丸(p4200004.jpg)
竹芝桟橋に回航される「おがさわら丸」

東京から南南東に1000km離れた小笠原諸島には空港が無く、アクセスは一般的に海上路となる。と言っても、定期航路は事実上小笠原海運の「おがさわら丸」のみ。片道25時間半の船旅を余儀なくされる。

「おがさわら丸」は朝10時東京港・竹芝桟橋を出港するので、9時半までに窓口で乗船手続きをする必要がある。福岡から始発の飛行機だと羽田8時40分羽田から浜松町までモノレールで22分。竹芝桟橋まで徒歩10分を考えても順調に行けば間に合わなくは無い。しかし余裕の無い時に限ってトラブルに巻き込まれるのが世の常なので、今回は万全を期して前日入りとした。

というわけでチサンホテル浜松町から徒歩15分程、8時20分竹芝桟橋へ。ちょうど「おがさわら丸」が回航されてきたところだった。

客室風景(p4200012.jpg)
おがさわら丸 2等Cデッキ

なお、自転車・原付も持ち込めるが受託手荷物として片道\3,538が必要となる為、小笠原でレンタルした方が安上がりだ。また小笠原は意外に山深く起伏があるので自転車よりも原付の方が向いている。ちなみにガソリン代は本土の倍くらい(\180/L)になる…

「おがさわら丸」は定員1031名の割に総トン数は6679tと外洋の客船としては大きいとは言えない(ちなみに「さんふらわあ」は12,000t以上)が、それでも3,500tだった旧おが丸よりはるかに大きいし、竣工も1997年と新しいだけにフィンスタビライザーも装備していてそれなりに快適な船旅が楽しめる。

とは言うものの、東京湾を抜けてから八丈島近海までは黒潮を横切る形になるので比較的揺れ易い。フェリーでは一度も船酔いをしたことがないYANOも「ちょっとマズイかなぁ…」と思ったが、早めに横になって寝てしまえば大丈夫だった。そのあとは小笠原に近づくにつれて穏やかになるので、初日の寝るまでが勝負と言える。慣れないとエンジン音が気になると思うので、耳栓を用意しておいた方が良いだろう。

ちなみに今回の乗客は行きは団体客を含めて315人、帰りは99人と極少だったが、ハイシーズンは800人を越して難民船か奴隷船のような雰囲気になると言う。くわばらくわばら。

小笠原海運 TEL 03-3451-5171(代)
東京→父島 おがさわら丸 2等 片道\22,570(往復割引は無し)

どうしても船酔いが心配だと言う方は「飛鳥」「にっぽん丸」「ぱしふぃっくびいなす」など2万トンクラスの大型豪華客船はいかが? 小笠原滞在は1泊2日と短いですが東京発着5泊6日程度のツアーが毎年春の行楽シーズンに企画されています。詳しくはクルーズネットワークへ。

参照
小笠原チャンネル
小笠原海運
チサンホテル浜松町
小筆栄二さんのホームページ
 -新おがさわら丸はこんな船

父島到着

二見港の風景(p4210027.jpg)
二見港に接近

定刻の11時半父島二見港に到着。気温は25℃前後。薄曇りな事もあって、思ったほど暑くない。

タラップを降りて小笠原ユースホステルの看板を持った人を探す。宿を予約していれば港に出迎えが来ているので、その足で宿へ案内される。昼前だがそのままチェックインしてしまうのだ。ちなみにこの便で入島したホステラーは10名ほど。思ったより多い…、もちろん居残り組もいるだろうから賑やかになりそうだ。

荷物だけクルマに積んで、我々は10分ほど歩いてユースへ。ヘルパーさんに街やお店の案内をして貰いながらなので、これはクルマに乗せて行ってもらうより何倍もありがたい心配りだ。

なお、ダイビングなどの半日ツアーに参加する場合は、荷物だけ宿に持っていってもらう事もできるようだ。また、そのまま母島へ渡る場合は隣の桟橋の「ははじま丸」に乗り継ぐ事になる。

そして取り敢えず昼メシなのだが、小笠原ユースホステルでは希望者にはおにぎり(2コ\300,3コ\400)を作ってくれる。大村近辺には食べるところも何ヶ所かあるのだが、いきなりでは探すのにも時間がかかりそうだし、船から降りたばかりでそれほど食欲も無いので、おにぎりを頼んでユースで食べてしまう。

小笠原ユースホステル TEL&FAX 04998-2-2692
1泊2食\4,800(会員)

参照
小笠原ユースホステル

大村海岸

大村海岸(p4210029.jpg)
大村海岸

小笠原ビジターセンターの裏に位置する大村海岸は、ユースから徒歩1分ほどの最も近いビーチ。真っ白な砂浜も美しくトイレやシャワーも完備していてもう言う事なし。

初日は午後からここで泳いだし、本を読んだり昼寝したりと何度と無く過ごしたポイントだ。

少し沖に出れば珊瑚礁もあって魚もいるが、砂浜が近い為に透明度はイマイチ。シュノーケリングを楽しむならば少し桟橋寄りの青灯台付近の方が良い。

ツノダシなど(p4210049.jpg)
大村海岸の海中

しかも、いつ行っても人が少なく、まるでプライベートビーチのようだった。

地元民はもっといいところで泳いでるのかな?と思っていたのだが、地元の子供が泳いでいたのはここだけだった。

結局、泳ぐにはまだ早いという事だったのだろう。実際、ちょっと水が冷たくてウェットスーツ無しではあまり長時間泳いではいられなかった。

ホエールウォッチング

クジラ捜索中!!(p1010011.jpg)
父島沿岸にて

ここに来るまでは「クジラを見たってなぁ…」と思っていたのだが、何となく気が合った気仙クンが「クジラを見に行こうかなぁ…」と言ってたので、同じように悩んでいた町田クンも巻き込み「行っときますか!」というノリで二日目はホエールウォッチングに決定。

ただホエールウォッチングと言ってもいろんなところが船を出しているので、どこにしようかとパンフレットを眺めてたところ、西谷サンパパヤホエールウォッチングドルフィンスイムの「父島周り1日コース」(\8,000+保険料\1,000)に申し込んでいるという事だったので、ならば!と同じツアーに申し込む。

翌朝、15人ほど乗せた大型クルーザー"Miss PAPAYA"9時頃に出港。桜の開花が早かった今年はクジラの北上も早いと言われているが、果たして観られるのだろうか?

ブリーチング!!(p1010023.jpg)
ブリーチするザトウクジラ

二見港を出て、父島から兄島に沿ってクジラを探しながら北上する。ホエールウォッチング協会では各船と無線で連携してクジラ情報の収集&展開をしているそうだが、残念ながら今のところクジラ発見の報告は無い。

1時間程しただろうか、兄島の北に抜けたところでお客のひとりがブロー(潮吹き)を発見。すぐさま近づくとブローだけでなく、ブリーチなど派手なアクションを何度も繰り返して見せてくれた。

2〜300mほどの距離を保っていたのだが、やはり体長15mの巨大なクジラがジャンプする?興奮はかなりのものだ。言うまでもなく待っている時間の方が圧倒的に長かったのだが、それでもあっという間に1時間近くが過ぎていった。

また午後からは南島の沿岸で3頭ほどの親子連れに巡り逢い午前中以上に我々を楽しませてくれたが、派手なアクションをこんなに繰り返すクジラに出逢える事は非常に珍しく、何回かブローが観られる程度が多いという事だ。しかも一日に2回という事はメチャ大当たりで、大満足であったと言えよう。

昼前にはイルカと一緒に泳ぐドルフィンスイムも出来たのだが、やはり気が進まなかったので参加せずボートから見守る。イルカに癒されるのはわからなくないのだが、どうしても人間のエゴでイルカのテリトリーを侵しているような気がしてどうもね…。

兄島の海中公園でお昼休憩。ユースで作ってもらったおにぎりを食べた後、シュノーケリング。ここはめちゃめちゃ魚が多く、またクッキーなどを砕いて撒いたらさらに寄ってくるので楽しいぞ。

しかし、ここでデジカメが浸水してしまう悲しい事故が発生(;_;)。ハウジングに何か挟まってたか? これ以降デジカメ画像無しとなる。

パパヤ マリンスポーツ TEL 04998-2-2377・2495/FAX 04998-2-3338
 父島周り1日コース \8,000(旅行傷害保険として+\1,000)

参照
小笠原チャンネル
 -パパヤ マリンスポーツ
 -小笠原ホエールウォッチング協会

南島

「父島周り1日コース」の最後は南島に上陸。『紅の豚』のアジトのモチーフになったとかならないとか言われている扇池だが、そんな経緯なんてどうでもよくなる絶景が待っている。エメラルドグリーンのサメ池も吸い込まれるような神秘的な美しさ。南島小笠原に来たら必ず行ってほしい場所である。

ちなみに南島にはきちんとした桟橋が無い為に渡し舟による上陸となるので、波の状況によっては接岸・上陸できない事も多々あるそうだ。海況さえ良ければシーカヤックでも行けるそうなんだが....。なお小笠原国立公園の特別保護地域でもあるので、むやみに自然観察路を外れて保護区域に立ち入らないように注意。

正直言ってデジカメが壊れて写真を撮れなかった事が悔やんでも悔やみ切れないのだが、デジカメが使えたとしてもこの感動を写真で切り取れたかどうかはかなり▲。それならばファインダー越しでなく1秒でも長く肉眼で観ていられたと思うと、それもまた幸せだったのかもしれない。

この世に楽園があるとしたら、きっとここなんだろうなぁ〜。

画像が見たい人はGoogleなどで探して下さい。Internet上になんぼでも転がっています。

参照
東京都環境局
 -「南島の保全と活用のための自主ルール」

シーカヤックデビュー

シーカヤックに興じる
父島、小港海岸にて
提供グレース・オーシャン・ツアーズ

小笠原ではいろんなショップが初心者もOKなシーカヤックのツアーを開催している。ユースでパンフレットを眺めているとその日に参加したばかりの人達が「ここ面白かったよぉ、絶対オススメ!!」と言ってくれたグレース・オーシャン・ツアーズに決め、電話で翌日のシーカヤック一日コース(\7,500:弁当付)に申し込む。

翌朝ユースまでクルマで迎えに来てもらって、スタート地点のコペペ海岸へ移動。一緒に参加する女性3名と浜辺で基本的なパドリングを教えてもらい、二人乗りのオープンカヤックに乗り込む。

最初はおっかなびっくりだったが、パドル一本でやることはたかが知れているのですぐに馴れる。その後は隣の小港海岸まで移動しつつ1時間程スキルの実地トレーニング。前に乗った女性と声をかけながらカヤックを漕ぐのだが、お互いに初めて。しかも波もあってなかなか思う方向に進まないが、それでもゆったり海上を進むカヤックは楽しい。

陽が射すと暑くなるのだが海をそよぐ風がなんとも心地好い。かと思ったら時折小雨が降ったりして今日は忙しい天気だ。それから海況が良ければ外海へ出てへ行く予定だったのだが、残念ながら少し海が荒れていたので穏やかな湾内で遊ぶ。洞窟に入ったり、パドルを休めてただ波に漂っておしゃべりしたり。それはそれでまた楽しい。

ひとしきりカヤックで遊んだところで、次はシュノーケリングで手釣りを楽しむ。ライフジャケットを着ているので身体がひとりでに浮いてしまい、ちょっと変な感じ。本格的にシュノーケリングで魚に迫ろうとすると邪魔だが、手釣りをするならライフジャケット着用が◎だ。いろんな魚が寄ってくるのを見ているだけでも楽しいのだが、喰い付きはするものの飲み込むところまでいかず、釣るとなると思ったより難しかったゾ。

エーちゃんと夕陽を背に
ウェザーステーションにて
提供グレース・オーシャン・ツアーズ

4人で30分程頑張った結果2匹の釣果を得たので、小港海岸の東屋で刺身と味噌汁を作ってお昼。獲れたてはんまいねぇ〜。温かい味噌汁も冷えた体に優しい。

かなりゆったりランチを楽しんだあと、八ッ瀬川をジャングルクルーズ。河口近くで流れもほとんど無くメチャメチャ楽ちん。天気も良く、暖かくなったのでゆったり景色を楽しむ事ができた。野生の山羊も見られる亜熱帯(というより熱帯)の植生に取り囲まれた川沿いの風景はまさにジュラシックパークみたいで、ジョン・ジニービーチに行けなくても満足できる。

終わった後は特別にウェザーステーションまで連れて行ってもらいサンセット鑑賞会。この滞在中で一番の夕陽がみんなの顔を紅く照らしていた。

ガイドのエーちゃんはカヤックの指導だけでなく自然解説や小笠原全般の話等もとてもわかりやすくかつ楽しく、何より「まずは参加した人に楽しんでもらおう、そして小笠原の事を知ってもらおう」としている熱い気持ちがヒシヒシと伝わってきて、とても気持ちの良いツアーだった。

今度は南島まで行ってみたいなぁ。

グレース・オーシャン・ツアーズ TEL&FAX 04998-2-7711
シーカヤック1日コース \7,500(弁当、ドリンク、記念品付き)

参照
グレース・オーシャン・ツアーズ
 -ツアーレポート15 2002.4.23:1日ツアー(コペペ海岸〜小港海岸〜八ツ瀬川リバークルーズ)

夜明道路ツーリング

小笠原は思ったより山が深い。舗装率はほぼ100%だが夜明道路はアップダウンが厳しいと知って、堕落したYANOはMTBには見向きもせずサンフラワーで50ccのスクーターを借りる。よく考えるとTシャツと短パンにサンダルと言うトンデモない恰好だったが、スクーターで走り込むわけじゃないので、大丈夫だろう!と自分を納得させる。

奥村地区から夜明道路に入るが、すぐに厳しい登り坂が待っている。最初からアクセル全開でグイグイ登っていくが、パワー以前に遠心クラッチに慣れずギクシャク。ヘアピンの立ち上がりで失速して足を着いたり、無意識にクラッチのつもりでリアブレーキをかけたりして、超カッコわる.... 気温25℃前後と夏を思わせる小笠原だが、標高200m程度の山間部に入ると風は涼しくTシャツでは肌寒いほどだった。ホエールウォッチングクルーズのときもそうだったが、南の島とは言えウィンドブレーカーの一枚くらいは持っておいた方が良い

夜明道路には何ヶ所か展望所が設けられているが、イチオシは父島ほぼ最高峰である中央山。道路から10分ほど遊歩道を歩いて標高300mの展望台から俯瞰する360度の展望は絶品だ。今日は50km離れた母島もくっきり見えた。絶景を独り占めにしながらローカルベーカリーで買ったパンと缶コーヒーでまったりする。

笠山もなかなかいいらしいが、道路からの歩道が整備されておらずサンダル・短パンではリスキーだったので今回は断念。道路からの距離は中央山より近いそうなので長ズボンと靴を履いていけば楽勝だ。但し、入口がわかりにくいのでユースなど知っている人に教えてもらおう。

知床のエゾシカのように、夜明道路野生化した山羊が出てくるので要注意。10〜20km/hでトロトロ山道を走っていくとオガサワラトカゲやオカヤドカリなどの小動物も発見できる。タコノキやアダンなど熱帯を感じさせる植生も実に面白い。戦時中に墜落した飛行機の残骸など、パンフレットには載っていない知る人ぞ知るポイントなんかもあるので、情報を収集してのんびり走る事をオススメする。

ノンストップで走り切ったら30分ほどで一周してしまう程度なのだから。

夜明道路に限らず小笠原には至るところに戦跡があるのだが、YANOは殆ど興味が無いので素通り。犠牲になった方々やご遺族はもちろん気の毒だと思うが、悲劇を憐れんだり、非道をヒステリックに糾弾する事が本当に戦争を防ぐ事に繋がるのだろうか?と思う。「戦争で何が行われたか」という事よりも「どういう経緯で戦争に至ったのか、なぜ防ぐ事ができなかったのか?」を考える事が必要なのではないだろうか? 戦争がダメなのはわかってるのだから、戦争にならないようにはどうするか?なのだ。まぁテロも同じなのだけど。

サンフラワー TEL&FAX 04998-2-3375
スクーターレンタル 9時〜翌17時 \2,520(保険料込み,サービス料金)

参照
サンフラワー

見送り

4月24日。昼からは東京に向けて出港する「おがさわら丸」のお見送り。ユースで一緒だった町田くん西谷さん達はもちろん、前日のシーカヤックで一緒だった女性3人にもしっかりご挨拶。またどこかで逢いましょう。それまで元気でねぇ!と見えなくなるまで手を振った。(^^)/

それにしても「おがさわら丸」の見送りは感動的。小笠原太鼓の演技だけでなく、ホエールウォッチングの船が見送り船となって二見湾の外まで伴走したり、島を挙げての一大イベントとして大盛上がり。世界的に船旅の重要度が下がっている昨今、こういう出港シーンが見られるのも今ではここだけなのかもしれない。

出港した後はウェザーステーションに上がって鏡による合図の送信。常連さんにやり方を教えてもらいながら、手鏡を使って「おがさわら丸」に向けて太陽光を反射する。が、最接近点で曇ってしまった事も手伝ってか残念ながら反応は無く、ちょっと寂しい。しかし、今日は波も穏やかで実にイイ感じである。

父島が眠る日

小笠原では「おがさわら丸」出港日の翌日は多くの店が休みとなる。大村でも開いているのはスーパー小祝だけ。メインストリート湾岸通りも閑散として寂しげだ。「出港日には買い溜めをしておくように」という事やね。

次の「おがさわら丸」出港日まで観光客もだいぶ少なくなるので、しばらくは観光ポイントも人が少なくなる事だろう。もっとも、これまでも一般社会の休暇シーズンではなかったので少なかったのだが....。

風も穏やかで辺りを静寂が支配しているシチュエーションは、街全体がGWの混雑を前にしばしの休息をしているように思える。

シュノーケリング

スーパー小祝で安売りしていたカップヌードルを買ってユースへ。人も少なくなった大広間を支配しているまったりした空気の中で、簡単に昼メシを済ませてシュノーケリングへお出掛け。

まずは宮之浜へ。陽射しは強かったもののちょっと水温が低かったので15分間隔で泳いではひなたぼっこを繰り返す。潮の速い兄島瀬戸に面する宮之浜は元々冷たいのだ。

珊瑚礁はなかなか見事なのだが、水温の低さも手伝ってか魚は特定のところに固まっていてなかなか見つけづらい。ある程度沖まで行かないとならないのは辛いしあまり数も多くないようなので、1時間ほどで諦めてひなたぼっこに徹する。

14時頃からは場所を奥村赤灯台の防波堤に変える。ここは父島でも唯一の枝珊瑚が発達している場所で防波堤からでも珊瑚礁を確認する事ができる。海藻が多くてちょっと泳ぐのを躊躇したのだが、テトラポットに跨がり腰まで浸かって水中を覗くと魚の群がわんさか見えたのでそのままボチャ〜ン。透明度がイマイチだったけれど、波も無くて水温も高く魚を観るには一番のポイントだ。

デジカメ画像は無いわ、魚の名前もわからないわでは、これ以上書きようが無いのが悔しい。

母島へ

26日朝7時半の「ははじま丸」で母島へ。ヘルパーのうささんにクルマで桟橋まで送ってもらい、乗船手続きを済ませた後にホライズンまで戻って朝食用のパンを、更に生協まで戻って自販機でミルクティーを入手し、朝メシの種を確保。定刻に出港後、真っ先に船内での朝食を済ませたところで、昼用のパンも買っとけば良かったと気付く。

9時半母島沖港に入港。圧倒的に寂しい港の雰囲気は父島を都会に思わせるホドだ。母島ユース田澤さんと、一昨日まで一緒だった気仙クンの出迎えを受けそのままユースへ。なんと10時前にチェックインだ。一通りの説明を受けた後、スクーターを借りる事にする。

まずは北上する事にしたが、大きなアップダウンを繰り返す都道はまたバイク向きで、やはりMTBを持って来ないで良かったと安堵する。山間部に入ると羽根アリのような小さな虫がぶんぶん飛んでて閉口する。サングラスをしてないととても目を開けてられないだろう。なんか鼻からも入ってきそうで非常にイヤな感じだ。シールドが欲しいゾ。植生も豊かでジャングルチックな雰囲気を20km/h程度の速度でのんびり散策。オガサワラトカゲは言うに及ばず特別天然記念物のハハジマメグロもちょこちょこ飛び交い、ありがたみが少し薄れる。昆虫や動物が好きな人には母島はまさにパラダイスだろう。

のんびり走って20分ほどで都道の北端、北村に到着。そこから取り敢えず大沢海岸までの遊歩道を歩く。トカゲ、オカヤドカリ、カニなどの小動物も多く非常におもしろい道だ。枯れ葉の音をさせないようにゆっくり歩いていると、初めてガサゴソと動くオカヤドカリも観られた。あのデカい図体が器用に動く様子はちょっとコミカルで感動。また人間に気付いて逃げる時の逃げ足もかなり速かった。またカニもよく観られ、こいつはこちらを見ながら後ろ向きに逃げていった。最近のカニは前後にも動けるように改良されたのか? 恐るべし東洋のガラパゴス。30分程で大沢海岸に出たが、水温が少し低めだったので結局泳がず。海もそれほどキレイとは思わなかったし。だんだん小笠原に馴れて感動が薄れてきたかな?。遊歩道は面白かったけど。

持ってきたビスケットをお昼代わりにしばし休憩。父島がくっきり見える。海岸には日陰になるようなものは無かったが、雲が出てくれて幸いだった。亜熱帯の小笠原と言えども気温は25℃程度。まだ4月に吹く風は涼しいほどだが、最も恐ろしいのが陽射し。まさに「刺すような」という表現がピッタリの鋭さで肌を焦がす。帽子と日焼け止は必携だ。そんな陽射しが攻撃能力を取り戻し始めたところで撤収。また30分かけてジャングルトレッキングを楽しむ。アップダウンも少しあるが、踵のあるサンダルならば問題無い。

北村からは東港などに寄り道しながら沖村へ戻る。無料のロース記念館でひとしきり説明を受けた後、港に戻り父島へ向かう「ははじま丸」を見送る。見送る側のYANOも明日は父島に戻るので、気仙クンまた明日ね」というのはまた妙だ。

再びバイクを走らせて、ヘリポートの脇を通り取り敢えず南京浜へ。浜に出ると背びれがいくつもプカプカしていたので「お、イルカだ!」と思って近寄ったところなんとサメ(ネムリブカ)。1mほどの距離まで寄ってくる事もあってかなりビビった。が、周りに別の魚も泳いでいるしじっとしていれば特にどうする事もなかったので、しばらくサメを眺めて楽しむ。しかし、水深20cmくらいの浅瀬まで来るとは…

それから御幸ヶ浜へ移動。園地から見える珊瑚礁は素晴らしかったが、少し離れた浜そのものは大した事無いように見えた。また珊瑚礁までちょっと距離があったし、珊瑚礁の向こうはサメが泳いでた南京浜なのでシュノーケリングもキャンセル。ていうか、マスクをバイクに積んだまま忘れてきたというのもあるんですが。f(^^;;

そんなわけで、母島ではスクーターで走り回っただけで特に何もしなかったが、それもまたよし。今回は「何もしない」をしに来たのだ。

八重山の風に三線が似合うように、小笠原の風にはウクレレの音色が良く似合う。やはりミクロネシアに通じるものがあるのだろうか。

アンナビーチ母島ユースホステル TEL&FAX 04998-3-2468
1泊2食\4,800(会員) スクーター半日\2500

参照
小笠原チャンネル
小笠原 アンナビーチ母島ユースホステル

母島の見送り

27日14時の「ははじま丸」で父島へ戻る。田澤さんに「ホントに帰るの?」と言われるが、1泊を2泊にしたところでそれほど違いが無いように思い、予定通り父島へ戻る。4泊くらいできればいろんなアクティビティを楽しめると思うが、今回は「何もしない」をしに来たのだ。

一緒に母島ユースから小笠原ユースに移動するふくちゃん坂本ちゃんとともに「ははじま丸」に乗船。ケガをしているよっし〜もウクレレを持って来てくれたし、ペアレントの田澤さんご夫妻と三兄妹も揃って岸壁を走って見送ってくれる。田澤さんに至っては防波堤の上に登って、いつまでもオレンジのシャツを振ってくれた。

盛大な「おがさわら丸」の見送りは怒濤の如く身体を包む感動があるが、こぢんまりとした「ははじま丸」の見送りはセンチメンタリズムをピンポイントで刺激する。どちらも旅人の心を切なくする事に違いは無い。長居してたら泣いちゃってたかもなぁ....。

小笠原ユース、最後の夜

小笠原ユースでは「おがさわら丸」出港日前夜に島寿司などの特別メニューによるさよならパーティが催される。まぁこのために母島を1泊にして戻ってきたという事もあるのだが....。f(^^;;

ユースでゴロゴロしてたら暇を見透かされて島寿司の手伝いを依頼される。前回はシーカヤック&夕陽を観に行って手伝わなかった事もあり積極的に寿司作りに参加。寿司作りと言っても板前のように握れというわけではなく、酢飯を小さい俵型に握ってお皿に並べ、それが終わったら辛子を塗ったあとにネタのサワラを乗せていくという寸法だ。毎日だと苦痛だがたまにやるなら楽しい。

肝心のパーティーはヘルパー3名を含めて20人程で賑やかに盛上がりこれまた実に楽しかった。ひとしさんの民謡、ジャイアンのギター、とわちゃんを中心としたフラダンスもまた雰囲気を盛り上げる。同じ南国の離島だとはいえ、八重山とは全然違ってミクロネシアな雰囲気がまた興味深い。

20時半にお開きとなり、一旦片付けた後に再び酒やお菓子を持ち寄って歓談に花が咲く。22時半に消灯となっても話は尽きない。夜の帳と共に去り難い気持ちに襲われる。

小笠原ユースホステル TEL&FAX 04998-2-2692
1泊2食\4,800(会員) +パーティメニュー\900

参照
小笠原ユースホステル

小笠原最後の日

4月28日。いよいよ17時の「おがさわら丸」で父島を離れる事になる。早朝4時に起きて満月が水平線に沈むところを観ようと誘い合わせて9人でウェザーステーションへ上る。残念ながら水平線付近は雲に覆われていて期待する景色は見られなかったが、大勢でガヤガヤ話しているるだけでも楽しかった。

朝食後、昼用のパンを確保する為に15分程歩いてローカルベーカリーへ。15分はちょっと退屈だなぁ…と躊躇してたのだが、長田さんが行くと言ってたので便乗する。お喋りしながら歩いていけばあっという間だ。結局、昼と夜の分まで買って帰った。f(^^;;

泣き出しそうだった空から、ユースに帰り着くのを見計らったかのようにポツポツと雨が降ってきたが、10時過ぎには晴れ間が見えるほど回復。今日の「おがさわら丸」で帰るみんなも土産物の買出しや宅急便の発送で忙しそうに動いている。スタッフも夕食の仕込みでおおわらわ。世間一般では昨日からGWという事で今日到着する「おがさわら丸」には720人以上の乗客となり、今日の小笠原は人も天気も慌ただしいぞ。

土産屋を物色してからホライズンでコーヒーを飲んだ後「おがさわら丸」のお出迎え。さぞかし盛大なお出迎えかと思いきやタラップが2基になって人が多いものの、桟橋の雰囲気はあまり変らないぞ。ちょっと肩すかし。いつの間にか刺すように照り始めた陽射しの下、ホライズンパッションジェラートを食べながらユースに戻る。

ユースにも新しい人が大勢入ってきたので居場所が無くなり、最終日になって目の前の小笠原ビジターセンターに行ってみた。最終日に行くなんて我ながら愚か。観光の予備知識としても有意義な資料がたくさんあり、案の定最初に行っておけば良かったと後悔する。まぁ世の中そんなもんか....。

ほとぼりが冷めた頃、ユースに戻ってローカルベーカリーで買った焼きそばパン\280で昼メシ。その後はもう動きたくないモードに突入したので、まったり雑談&メアド交換などをしつつホームページネタを更新。いつしか外は澄み渡った青空になってて、なんか勿体無いような贅沢なような....

荷物をクルマに積んでユースを出る頃には空はいつの間にか泣き出しそうな曇り空に戻っていた。船内用の食料を仕入れながら歩いて二見港へ。最後に記念写真を撮ったあとみんなと握手。グレース・オーシャン・ツアーズのエーちゃん、サンフラワーのおっちゃんも来てくれてた。「また来てね」「また来るよ」と最後までみんなとの別れを惜しんでタラップへ足を掛ける。

キャビンに荷物を置いたら大急ぎでデッキへ出て飽きもせず手を振る。パドルを振るのはエーちゃんだ(笑)。桟橋では飛び込み部隊が見送り船を探して右往左往。今日は入港日の上にタダでさえ慌ただしい夕方なので見送り船は少なそうだが、何とか交渉成立したようだ。

惜別の汽笛を鳴らし、99人の乗客を乗せた「おがさわら丸」は定刻の17時二見港を出港。いつもより少ないとは言え桟橋で手を振る大勢の人々と、4隻の見送り船。盛大な見送りは旅人の胸を打つ。見えなくなるまで見送ってくれる仲間達の姿は名残惜しく、いつまでも手を振っていたい気分だった。

旅のセンチメンタル、ここに極まる。また煮詰まったらここに帰ってこよう。

参照
小笠原チャンネル
小笠原海運

先頭に戻る
ご意見・ご感想はこちらまで!

Copyright (c) 2002 by YANO
All rights reserved.