彗星核に物体を意図的に衝突させて様子を観察するという、まさに映画『ディープ インパクト』を髣髴とさせる、これまでに類を見ないエキサイティングなNASAの彗星探査計画だ。
探査機が今年の1月12日に打ち上げられたのはチェックしていたが、思いの外早く7月4日にテンペル第一彗星の彗星核との衝突に成功した聞いてビックリした。小惑星帯あたりで狙ってるのだとばかり思ってたのだが、意外と近くまで来てたのね....。
今回は純粋なアカデミックな天文学の観点以外に、映画『ディープ インパクト』で描かれていた来るべき危機に対しての準備と言う一面もあったという事が、公にされたのはちょっと意外。例え暗黙の了解であっても日本では絶対言わないような気がするが、このあたりはアメリカの潔さか。
しかし、秒速10km以上で飛行を続ける衝突前にも自律制御で3回の軌道補正を行ったというから、これはお見事という他ない。最後の最後で外れてしまえば何の意味も無くなってしまうのだから、制御システム開発チームのプレッシャーは相当のものだったろう。エクセレントな仕事には心から拍手を送りたい。
インパクターにはキャンペーンで募集した約63万人の名前を収録したCDが搭載されており、これらの人々の名前をテンペル彗星に届けるという役割も果たします。という事は知らなかった。インパクターが衝突してCDだけ無事に残るという事は考え辛いので、衝突に失敗したインパクターが宇宙を流浪する事になった場合にも何がしかの夢を繋ぐ意図ではなかろうか。つまり「テンペル彗星に届ける」というのはちょっと疑問。
昨日のNスペ(19日(火)深夜に再放送)に続いて、来週土曜日のサイエンスZEROも「ディープインパクト」を取り上げるので、注目。
【参照】
●国立天文台 http://www.nao.ac.jp/
┗ディープ・インパクト探査計画 http://www.nao.ac.jp/pio/200507deepimpact/
●アストロアーツ http://www.astroarts.co.jp/
┗ディープ・インパクト計画 http://www.astroarts.co.jp/special/2005deepimpact/index-j.shtml
●サイエンスZERO http://www.nhk.or.jp/zero/