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Last-modified: 2024-04-17 (水)


[一語一絵]

理由 / 2002-04-12 (金)

会社を辞めるにあたって、このご時世に会社を辞めた理由をいろんな人に訊かれたのだが、直接話ができなかった人の為と未来の自分が忘れてしまった時に思い起せるように、この2週間で自分なりに分析したものも含めて改めて書き記しておきたいと思う。

もちろん会社に対する不平不満はそれなりにあるけれども、最終的に決断した一番大きな要因は自分の居場所が無くなったという事。これはもちろんリストラ等で冷遇されたという事ではなく、現在の会社が向かっている方向には同感できなくなったという事で、簡単に言うと行き先の違う列車から降りたという事だ。ただ、そういう本人もまだ否定するだけで進むべき方向を決めきれて無いんだから偉そうな事は言えないのだが。

極端な話、仕事は仕事と割り切って大人しく会社に収まっておくとか、次の方向が決るまで今のまま務めを継続するという選択肢もあるだろうし、きっと多くの人はそうする(せざるを得ない)だろう。しかし毎月のように大企業が倒産する昨今、一部上場企業と言えどもいつまでも盤石では無いし、今年はそれでいけても遅かれ早かれ変革の波が自らの身にも降りかかってくるはずだ。そうなった時に外的要因で別の方向を目指すのではなく、そうなる前に自分の意思で新しい方向に足を踏み出す力を持っていたい。社内でのそれなりの地位に置かれてしまうと(現にYANOが退職まで1年半を要したように)タイムリーに退職する事は難しく、ましてやその時に自分の力が貯えられている保証は無い。

そもそもYANOは組織に所属する事を好ましく思っていないので、無用の長居をして会社のローカルなカラーに不用意に染まりたくないというのもある。日本に住んでいれば日本人気質になるように組織に属していると良くも悪くも組織のカラーに染まってくるのが集団心理からも自然である。もちろんこれはこれで一概に悪いとは言えないのだが、もし不幸にも悪い方向にエスカレートすると一般的な通念を外れた局所的な論理だけで動く邪悪な体質になる事があり、特に巨大な権力を持った組織が陥りやすい。どこの組織とは言わないが、権力は腐敗し組織は硬直する。

そういう観点から一つの組織に長居は無用であると考えており、それが渡り鳥気質の遠因となっていると言える。つまり状況を変える為に理由が必要なのではなく、状況を継続する為にこそ理由(大義名分)が必要なのだ。家族の為にとか、地域の為にとか、はたまたお国の為にとか....。

ちなみに今までYANOとしては「ネットワークコンピューティングの普及による地方社会への貢献」と「会社(九州事業所)の発展」という偉そうな大義名分を目標としていたのだが、「もはやネットワークインフラでは儲からない」「会社も事業所も比較にならないほど大きくなった」現在、今の延長線では次の目標を設定できなかったという事である。

さらに現在の状況を考えると扶養家族がいるわけでもないし、土地に根ざした仕事を目指しているワケでもない。という事は福岡ではダメだという事も無いけれど、福岡に固執する理由も何一つ無い。実家や親戚が近かったりで何かと便利なのと、何より引越しは面倒なのでもうしたくないという気持ちがあるので「引越しありき」では無いのだが、福岡以外で自分の目標が見つかればそこが次の居場所になるのだろう。例えば、北海道の僻地や離島で地域起しをやるとか、青年海外協力隊に参加して外国でコンピュータ教育を行うとかいうのも意義深い事だと思う。これは独り身である故の功罪なのかもしれないが、安らぎよりも素晴らしいものは確かにある。

前置きが長くなったが、そういうわけで明日から新しい居場所を探しに行くのだ。see you again.