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Last-modified: 2024-04-08 (月)


[一語一絵]

正義とは / 2001-09-25 (火)

昨夜のTBS系News23で、最近までアフガニスタンとその周辺にいた人から筑紫哲也がアフガニスタンの現状を探るコーナーに釘付けになった。

何よりビックリしたのは、未だに大勢の難民がアフガニスタンからパキスタンに流出しているが、タリバンを支援しているパキスタンの難民キャンプでイスラム原理主義の教育を受けた青年たちが成長し、アフガニスタンに戻ってタリバンの戦闘員として展開しているという話である。

そもそものアフガニスタン情勢の起りを紐解くと、1979年のソビエト軍アフガニスタン侵攻に起因する。強大なソビエト軍に対抗する勢力ムジャヒディンをパキスタンが支援し、そのパキスタンを「敵の敵は味方」とばかりにアメリカが強力に支援した事はいまさら言うまでもない。そしてソビエト軍の撤退後、強大な軍事力を持て余してしまった反政府勢力の間で勢力争いが起り、タリバンがイスラム原理主義と共に台頭して現在に至っているわけである。つまりタリバンの台頭をアメリカが支援したと言えなくも無く、またタリバンが反米路線に豹変したキッカケが先の湾岸戦争である事も明らかなので、乱暴な言い方をすると今回の無差別テロはまさに「飼犬に手を噛まれた」と言えるのではないだろうか。

あちこちで言われているようにアフガニスタンの国民すべてがタリバン支持では無いし、西側世界では内戦状態と言っているがパレスチナやユーゴのように民族対立からそれぞれの民衆を守る為に戦っている訳ではなく単に思想を異にする派閥・勢力争いをしているに過ぎない。つまり民衆にしてみれば誰も守ってくれないどころか、アメリカが育てたタリバンに苦しめられ、今またそのアメリカにタリバンもろとも攻撃しようとされている。これはNYのテロに勝るとも劣らない悲劇ではなかろうかと思うし、もしこの懸念が現実のものとなった暁にはテロ撲滅どころか、アメリカに対するさらなる恨みと憎しみをイスラム原理主義以外に拡散させる事にならないだろうか?

そういう意味で、日本の成すべき施策として「難民支援」という選択肢は候補たりえないのだろうか? 「NY市への基金供出」や「米軍への支援」は日本が出るまでも無く各国で助け合えるのだし、逆にパキスタンだけでなくイランとも国交がある日本ならではの「イスラム原理主義に偏らない難民支援」が草の根のテロ対策として非常に意義深い役割を担えるように思うのだが....。

イソップ寓話の『北風と太陽』しかり、何事も力任せで解決できるほどこの世は単純では無い。

アメリカ、ロシア、NATO諸国、そして日本。同じ正義という意味の言葉でもそれぞれ表現は違うハズだ。特に今回アメリカには当事国としての立場もある。同盟国だから何でもアメリカに倣えでは芸がないぞ。>小泉首相