みちのくひとり旅 Page-3

97年8月2日〜9日

6泊7日で博多…(フェリー)…直江津〜男鹿(入道埼)〜小泊(権現崎)〜弘前〜青森…(フェリー)…函館(立待岬)〜積丹(神威岬・積丹岬)〜小樽(高島岬)…(フェリー)…舞鶴〜丹後(経ヶ岬)〜鳥取〜岡山〜広島〜下関〜北九州〜博多のコースを旅した時の旅日記です。


8月5日

権現崎からの展望 9時半頃に小坂町のオズマ氏(仮名)宅を出発し、今回の旅の最大の目的地小泊権現崎を目指して青森県へ入り、相変わらず降り続く雨の中を碇ヶ関弘前五所川原金木と順調に走る。

金木に入ると雨風共に信号待ちで立ち止まると倒れそうになるほど強くなって、さすがに躊躇し始める。こんなに雨風が強くちゃ権現崎の駐車場まで行けても展望台まで歩けないかもしれないな…と思いつつよく考えたら、ライダーブーツ以外の履物はサンダルと薄手のスニーカーしか持ってきていなかった。これでは多分どろどろになっているであろう岬への遊歩道など歩けそうに無いので、ダイエーに飛び込んでゴム長を求めておいた。

ゴム長を買ってしまったからにはそう簡単に引く訳にもいかないな…と気を取り直して再び権現崎を目指す。暫く走ると雨風も弱まり、殆ど霧雨状態になったところで道の駅・十三湖高原に到着。すでに時計は14時を指そうとしていたが、ここで遅めの昼食。新妻に作っていただいたおにぎりを頬張って元気100倍、小康状態の天気にも少し気を良くして早々に出発。

20分ほどで権現崎の駐車場に到着。当然ながら1台の車も無く…と思いきや、1台だけ地元車らしきピックアップがあり、風を避けるようにその隣にバイクを止める。ブーツをゴム長に履き替え、風が強いのでヘルメットは地面に置いた。幸い雨は上がっていて傘はいらないが、用心の為にカッパはそのまま着て行く事にした。

遊歩道を100m程歩くと、もう小規模な崖崩れでもあったように泥だらけ小石だらけ。ゴム長を用意して大正解。岬まではジャングルのように薄暗い森の中の山道を800m程歩くが、高低差が200m程あってかなりの重労働である。おまけにカッパを着ているので蒸暑いのなんのって、そりゃもう大変。

権現崎からの展望 中間地点を過ぎたと思われるあたりで、波しぶき?と間違う程度の雨が頬を濡らし始めた。本人はカッパとゴム長で万全だが、よく考えると残されたブーツとヘルメットがびしょ濡れになってしまってはこの後が大変。引き返すならば今しかない…のだが、ここまで来て引き返せるか?という気持ちと、このまま強くなれば今から戻ったところで既に手遅れ。ということで覚悟を決めて前に進み、結局30分ほどで岬に到着。

神社の脇を抜け、鬱蒼とした森の中から展望台に出た瞬間、目前に広がる大海原と吹き付ける強風と音に思わず一歩後退りしてしまったが、もう一度心構えをして展望台に出る。普段ならば「天気は優れないがそこはそれなりに…」等と負け惜しみをこねてみるところだが、風の強さに加えて雨の心配もあり、とてもそんな悠長な事は言ってられない。ここまで来られた事に満足して、早々に今来た800mの道を引き返す。

小泊海岸の荒波

結局雨には殆ど降られず無事に駐車場まで降り、バイク・装備共に無事である事を確認してひと安心。再びブーツに履きかえ、ヘルメットのシールドを簡単に洗って再スタート。

空も少し明るくなってもう雨も降りそうもないと読んだので、道の駅・十三湖高原でカッパを脱ぐ。金木を過ぎてまもなく空がにわかに暗くなって大粒の雨が落ちてきて、折角脱いだをカッパを慌てて着込む。暫く走ると雨も上がってしまったが、西の空を見上げるとまだところどころに雨雲が見える。さすがに雨の中を走るのは疲れたので少し休憩したいところ…ふと、来る時にこのあたりで温泉の看板があった事を思い出し、取り敢えず近くの温泉に逃げ込んでひと休みする。

スッキリしたところで明日以降の行動を考える。直江津まで戻ってフェリーで帰るのならば明後日に南下を始めればよいので、下北半島方面に足を伸ばすことができる。しかし、東北地方は明後日くらいまで不安定な天気が続きそうだし、よく考えるとねぶた祭りシーズンの真っ只中に飛び込みで宿を確保するのはまず不可能、また雨の中のビバークは体調を崩すので危険....

弘前ねぷた ここでもう一つの選択肢の可能性を探ってみる。ダメ元で新日本海フェリーへ電話し、無事に7日の小樽→舞鶴航路の2等寝台を確保できたので、嘘のような北海道ルートが決定。これで今夜はのんびり弘前ねぷた祭りを観た後、どうせ宿も取れそうに無いのでさっさと青森からフェリーで函館へ渡ってしまうという強行手段に出ることにした。

弘前まで戻り、ねぷた祭りを観る。なるほど絢爛豪華なねぷたもあるが、ちょっと微笑んでしまう地元町内の手作りのねぷたも味があっていい。何より参加している人達が楽しそうだった。なぜ青森でなく弘前かというと、青森は混んでそうだから。それでも雨が降っていた影響か人出は思った以上に少なく、のんびり観られた。遠く離れて聞く太鼓や笛の音も風情があっていい雰囲気だった。

弘前市内で北海道ツーリングマップルをGETしてから、再び7号線青森まで行く。

青森のフェリーターミナルへ着いて駐車場に止まっているバイクに驚いた。ざっと数えてもなんと200台以上のバイクが止まっていた。「明日の昼前の便になっちゃうのかなぁ?」という不安に襲われてダッシュで乗船手続きしたところ、「次の22時の便でいいですね?」と言われてこれもビックリ。駐車場に止まっているバイクは殆どねぶた祭り見物の為にフェリーターミナルの周りでキャンプしている連中のものだった。

結局、8台程のバイクを積み込んだ22時の便で無事に青森を後にした。
(ここまでの走行距離:約1000km)


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Copyright (c) 1997 by Yoshihisa Yano


撮影:FUJI DS-7
'97/8/2〜9 Rel 1.00 Effect:なし

Yoshihisa Yano
e-mail:yoshihisa.yano@nifty.ne.jp