フェリー乗場から錦江湾サウスロードユースまではわずか200m程。先客は千葉からのライダー氏と、水戸からのレンタカー氏のおふた方。この季節に関東から…なかなか侮り難い強者とお見受けした。 おでんと鶏の唐揚げなど(おちょこ一杯の焼酎が付いてた以外は)あまりに普通の夕食を済ませた後、3人で温泉へ。これも僅か200m程離れたところにねじめ温泉ネッピー館があり、\300(ユースで回数券を分けてもらえば\280)で温泉に入れる。しかし夜になって一段と風が強くなり、冷たい風がまるで台風のように吹いていてめちゃめちゃ寒い。特に沖縄帰りのライダー氏には寒さもひとしおだった事だろう。
ネッピー館も数年前にできたばかりの新しい施設。お風呂も内湯と露天風呂、ジャグジーや低周波風呂やサウナまであって申し分なし。障害者対応の家族風呂まである。泉質は海が近いせいか塩分濃度が高めな食塩泉で、日焼け後には避けたいところ。宿泊も可能で一泊二食\7,800からとリーズナブル。オススメできるところである。 ねじめ温泉 ネッピー館 TEL.09942-4-5300 FAX.09942-8-1800
ユースに戻ると、夜9時だというのに飛び込みで若者がひとり追加。談話室で飛び込み氏を加えて4人で旅談義。ライダー氏もレンタカー氏も全国を股にかけた旅人で、例の如くどこでえらい目に会っただの、どこが良かっただので盛上がる。レンタカー氏は日本百名瀑を制覇して環境庁にお墨付きを貰った知人がいて、知らぬ間に自分も10ヶ所以上周っていたとか、本土最西端だけ行ってないとか。 ライダー氏からはライダー、チャリダー、とほダー、JRerなどという俗称に対して、いわゆる車派にも呼び名を付けよう!という話があった。私の場合、交通手段はその時によって違うし、悪戯にカテゴリー分けをして妙な壁ができてしまうのがイヤなので、適当にお茶を濁しておいた。よく考えるととほダーっていうネーミングもなかなかスゴいよね。 ふっ、と場が静まった時に飛び込み氏が呆れたように一言。「みなさんすごいですねぇ…」 この時期に4連休をとったら雪山でスキーか、南の島でリゾートが普通。わざわざこの辺に出掛けてくるような酔狂な人間はこんなのばっか。まさしく類は友を呼ぶとはこの事である....。てな具合で、本土最南端のユースの夜は楽しく更けていった。 |
7時前に目が覚める。まず何より先にカーテンを明けて空模様を確認する。雲の占める割合は多いものの、雲間からは時折眩しい朝日が顔を出している。何より台風のように強烈だった風が「ちょっと風が強いな」程度に治まってくれたのが嬉しい。 速やかに朝食を済ませて、昨日は断念した佐多岬へ出発。と、いきたかったところだが、天気も快方に向かっているとはいえ、まだすっきりしない。何より昼前のフェリーに乗ろうとすると2時間半ほどしかなく、わざわざ有料道路を通ってまで行ったところでとんぼ返りになってしまってはもったいない。 というわけで、一番のフェリーで錦江湾を渡って開聞岳に向かう事にした。といってもフェリー出航は9時20分。少し時間があったので、ネッピー館でひとっ風呂浴びてからフェリーに乗り込む。 南海郵船 山川〜根占 1日5往復 40分 TEL.山川0993-34-0012/根占09942-4-2531
適度な波を掻き分けて、定刻通り10時に山川港に到着。取り敢えず錦江湾を右手に見ながら何となく指宿へ。別に指宿観光をするでもなく、そのままノンストップで池田湖までドライブ。 だんだん晴れ間が多くなり、早春を感じさせる陽射しを受けて気温も上がってきた。昨日はあんなに冷たかった風も、今日は心地好く肌を撫でてゆく。ところどころで車を止めて写真を撮りながら、開聞町の中心部を抜けて11時すぎにフラワーパークへ出た。
ちょうど2年前にもMTBを輪行して来た時に、左の写真のように菜の花畑の向こうに開聞岳がキレイにみえる素敵な場所があったんだけど、結局わからずじまい。確かフラワーパークの前あたりだと思ったんだけどなぁ.... というわけで、後ろ髪を引かれながら11時すぎに再スタート。国道226号線は交通量も少なく、カシオペアをBGMに快適なドライブを楽しむ。 頴娃町を抜け枕崎市へ入ったところでちょうど12時となり、昨日に引き続きローソンおにぎりでランチタイム。しかし今日は青い空と海に包まれているので、昨日とは一味違うぜ!ときたもんだ。ラジオから流れる天気予報もいい感じである。
再び国道226号線を西へ。枕崎の市街地を抜けると、まるで違う道のように道幅が狭くなった。いわゆる酷道というやつである。もちろん日本国お得意の道路改良工事の真っ最中で、既に一部はキレイな2車線になっているので、数年後には立派な道路になっている事だろう。ごっそり山を削って真っ直ぐな道路を通す事が環境破壊で悪い事だとは言うのは簡単だが、実際に狭くてでこぼこした道を走るのは非情に疲れるので広い道路ができるのは実際にありがたい。しかし、この場所で生活していたであろう動物たちの事を考えると、心中複雑なものを感じる。 1時前に坊津の歴史民俗資料館に到着。\300ほど払って見学するが、特に興味を引くモノもなく15分ほどで退場。小さな町なのでそもそも期待していなかったのだが、思ったより数多くの文化財などがあったのは意外だった。昔は中国や南方との貿易でかなり栄えていたそうである。 坊津歴史民俗資料館 TEL.0993-67-0171 第3月曜日は休館
坊津まで来たからには坊ノ岬へ行かにゃ!と少し戻って狭い林道に入り込むが、それらしくない入り江に出てしまった。行きつ戻りつしていると地元民と思しき人に出会ったので坊ノ岬への道を尋ねてみた。確かに道はあるが、かなり荒れていて四駆じゃないと危ないと言う。しかも30分ほどかかって、更にだいぶ歩かねばならないという事なので、今回は涙を飲んで断念した。 やっぱオフロードバイクを用意するしかないな....。 2時前に坊津を出発。この道路状況だとだいぶ時間がかかりそうなので先を急ぐ。しかし行けども行けども距離は稼げず、車窓を楽しむどころではなくなってきたので、久志から県道270号線でひと山越えて国道270号線へ抜け、加世田に逃げてしまった。
加世田からは国道270号線を北上。ショートカットの甲斐もあって3時過ぎに吹上温泉に到着。 日帰り入浴施設も幾つかあるが、国道に看板も出ていた福住温泉を選択した。泉質はアルカリ性単純硫黄泉で、少しヌルッとして硫黄臭く非常に温泉らしい温泉である。内湯に露天風呂もあって値段は\300とリーズナブル。家族湯もあるらしい。 福住温泉 鹿児島県日置郡吹上町湯之浦 TEL.099-296-2005 温泉で少しのんびりして、4時過ぎに日本三大砂丘の一つ吹上浜へ到着。日本海側でたまに見掛けるアベック失踪に関する看板がここにもあった。 海岸では痛いほどの風が吹きつけていて、体感的にはかなり寒い。思わずコートのポケットに手を突っ込んだら、砂でザクザクになっていた。なんだ砂が風に舞っていたのか....。道理で痛いはずだ。
さて肝心の吹上浜だが、福岡の奈多海岸を長くしたような感じ。鳥取砂丘のようなスケールを想像していたので、かなりガッカリした。 4時半近くになってだいぶ日も傾いてきたので、そろそろ出発。再び国道270号線を北上し、市来町で国道3号線に合流。串木野市を抜けて川内市に入ったところで思い出した。 さつま揚げを食べるの忘れてた。 ちょうど都合よく国道沿いに蒲鉾屋があったので車を止めた。ホントはさつま揚げ1個だけで良かったんだが、そういうお店ではなかったので一番手頃な\500のパックを買って車に戻った。 ふと時計に目をやると既に6時近くになっている。長島からフェリーで天草の牛深に渡ろうかと思っていたんだが、この時間ではもう最終フェリーに間に合わないかもしれない。例え間に合ったところで、それから宿を探す事を考えるとかなり厳しいものがある。ということで、取り敢えず国道3号線を北上しながら次のアクションを考える事にした。 そろそろ腹減ったなぁ〜と思いつつ、阿久根、出水と順調に抜けて7時過ぎに熊本県の水俣に入ると、湯の児温泉の案内板に惹かれて脇道に外れる。狭い道をえっちらおっちら走って湯の児温泉まで辿り着いたが、1軒だけ共同浴場がある他は旅館のみ。この時間では温泉だけというのは無理だろうし、どこにあるのかわからない共同浴場もちょっと気が進まない。というわけで、おとなしく国道3号線に戻ってうどん屋で夕食とする。 うどんを食べながらも地図を広げてルート探索。すぐ近くの津奈木温泉は昨年入ったことあるので、その先湯浦のささ原温泉をターゲットに定め、8時過ぎに再スタート。15分ほどで湯浦に入ったが、狙っているささ原温泉が見つからない。結局地図を無視して探す事20分、ボーリング場から湯浦川沿いに出てようやく目当てのささ原温泉を探し当てる事が出来た。 弱アルカリ性の単純温泉でヌルヌル感は少ないが滑らかな感じ。少し熱めかな。決して共同浴場ではなく、露天風呂や休憩室もある立派な日帰り温泉施設で、しかも\170(入浴のみ)という値段が嬉しい。駐車場も広くてここはオススメ。国道3号線から少し外れるので、初めてだとちょっとわかりにくいけれど....。(夜なのでデジカメ写真は撮れなかった) ささ原温泉 熊本県葦北郡芦北町湯浦 TEL.0966-86-2683 さっぱりしたところで9時過ぎに出発。再び『PUNCH THE MONKEY』をBGMに夜の国道3号線を快走する。三太郎峠を越え、八代、松橋とハードボイルドな走りで駆け抜けた。やっぱりナイトランのお供はルパンだね。 今夜は車中泊にして明日は阿蘇にでも行こうかな等と考えていると、今夜は熊本平野部でも氷点下まで冷え込むという予報。なんてこったい。次から次へと選択肢が無くなってゆく....。という具合で、どうするか決まらないまま淡々と国道3号線を北上して、結局午前1時に福岡まで戻ってきてしまい、あっけなくこの旅も終わりを告げた。 全走行距離:1150km |
撮影:Kodak DC-210 Zoom
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