春を迎えに…南九州99'春

2月11日(木)、星の数ほど…

今日は木曜日だが建国記念日でお休み。ということは、翌日の金曜日に休暇をとって4連休にして、ツーリングに行かねばなるまい。というわけで旅立ちの朝を迎えた。がしかし、残念ながら天気予報どおりにあいにくの雨であった。しかし、朝の天気予報では「昼過ぎには雨も上がる」という事なので、果報は寝て待てとばかりに再び布団に潜り込む。元々は四国へツーリング…という予定だったし(週頭に「金土は寒気団が北部九州まで南下して雪が降る」という週間予報を基に目的地を南九州へ変更した)、この辺りは得意技の臨機応変である。

しかし、10時になっても、お昼を過ぎても雨は降ったり止んだりを繰り返してスッキリしない。結局、日が暮れる頃になってようやく雨も上がったが、これからバイクで出掛けたところで熊本までも行けやしないし、まだこの時期のナイトランは厳しい。というわけでバイクは諦めて車(デミオ)で出掛けることにして、改めて準備をやり直し家を出た時には既に午後7時半になっていた。

完全にドライコンディションとなった国道3号線を快調に走る。特に混雑したところもなく、基山のいつものスタンドで給油(\78/L)した以外は山鹿まで2時間ノンストップで走りきった。夕食を簡単に済ませた後は、もう少し走って七城温泉ドームへ。ここはやわらかいお湯もさることながら、ジャグジーや露天風呂もあって400円とリーズナブル。しかも営業時間がオールナイトで毎日朝までと至って便利なのでお気に入りのところである。

午後11時過ぎに八代を目指してエンジンスタート。再び国道3号線に戻ったあとはひたすら南下する。熊本松橋とスムーズに南下して八代に入った。八代からえびのに抜けるのには人吉経由が一般的だが、人吉方面は何度も走った事があるし何より加久藤峠では雪の懸念もあったので、水俣から大口を経由するルートでえびのに抜けることにした。というわけで水俣からは国道268号線へ。森高千里の『DO THE BEST』をBGMにゆったりアップダウンする2車線路を快調に走り、大口市街地に入ったところのファミリーマートで小休止。眠くなったら休憩しようと思っていたのだが、充分に昼寝をしたせいかなかなか眠くならなかったので、結局鹿児島県大口市まで3時間ノンストップで走りきってしまった。時計の針は午前2時を指していた。

朝焼け
月が浮かぶ薄明の内海漁港

小腹も空いたところで肉まんでコーヒーブレークと洒落込んだ後は宮崎を目指してハンドルを握る。ここからは『PUNCH THE MONKEY』(ルパン三世30周年記念リミックス)をBGMに深夜の国道268号線を快走。ハードボイルドな気分で栗野吉松えびの小林野尻と抜けて、高岡からは国道10号線と合流して宮崎市内へ。10号線バイパスが見えたところで妙に色気を出して脇道へショートカット。結局15分ほど無駄に走って地球温暖化に貢献しただけ f(^^;; で、元の10号線バイパスに戻った。宮崎市街地に入って県道17号線から国道220号線へ。程なく青島を過ぎて目的の日南海岸沿いに出たが、当然外はまだ真っ暗。真っ暗な日南海岸を走るほど勿体無い事はないので、朝まで仮眠をとる事にして内海の漁港に車を止めた。

時刻は午前4時半過ぎ。さすがに少し疲れたなぁ〜と思いつつ、車外に出て背伸びをしつつ夜空を見上げた。そこには感動的な程にたくさんの星がまさしく降るように輝いていた。今さらながら改めて星の数ほどというのはこんなにたくさんの事を言うんだ、と再認識した夜だった。

コートを羽織っただけで仮眠していたが、朝まだ明けやらぬうちに寒さで目が覚めてしまった。かなり冷え込んでるかな?と思いきや何のことはない、迂闊にも窓を少し空けたままだった。南国宮崎とはいえ、さすがにこの時期の明け方の外気は肌寒いのは当然。おろか…であった。

2月12日(金)、2年越しのリターンマッチ

日の出
清く正しく水平線から上る朝日

6時45分頃に内海を出発。日の出を拝むポイントを探しながら国道220号線を更に南下する。東から次第に空は明るさを取り戻し、いるか岬サボテン園を過ぎたところでお誂え向きの場所を見つけて停止。水平線近くには少し雲があったものの波も穏やかで、これこそ日南海岸の朝!という感じの日の出に幸先の良さを感じつつ、高ぶる気持ちを缶コーヒーで沈める。

そこから15分ほど走り、鵜戸神宮を通過....と思ったが、まだ朝早い事だし慌てる必要も無いと思い直して、参拝して安全を祈願する事にした。

鵜戸神宮
安産の神様、鵜戸神宮
右下の岩の上ある穴に運玉を投げ入れる

時間はまだ7時半。とはいえそれほど早い時間でも無いと思うが、参道から本殿まで歩いて誰一人遭わなかったのには少し戸惑った。もしかして本日休業…?まさかね。

道中の安全と好天をお祈りしたところで、名物の運玉にチャレンジ。運玉というのは15m程離れた岩の上にある穴に、願いを込めながら土の玉を投げ、見事入れば願いが叶うという言い伝えによるもの。社務所で5個50円の運玉を所望し、ぶつぶつと願いを呟きながら第1投を投じた。が、全然的外れで手前にポトン。足元より下になるため近く見えるが意外に距離がある。第2投目は少し強過ぎたと思ったにも関わらず数cm手前で跳ねて、無情にも穴を飛び越えていってしまった。ムキになって3投目、4投目を投じたが結局思ったようにはいかない。5投目に至っては高く上がりすぎて手前の岩に落ちてしまった。しかし、運良く穴の方に跳ねて入るか!と思われたが結局数cmの差で入らず。

思わぬところから転がってきたチャンスも結局実らず逃してしまう。何かを暗示しているのだろうか? それにしても3投目以降は玉を投げる事に集中して肝心の願い事をすっかり忘れてしまっていたので、入ったところで何のご利益も無かったかもしれない。あまりの間抜けさ加減に思わず他人事のように笑ってしまった。

日南フェニックスロード
気分爽快、日南フェニックスロード

8時ごろには鵜戸神宮を後にする。ここからはBGMを山下達郎『COZY』にスイッチ。

宮崎市青島から都井岬まで日南海岸に沿って走る国道220号線国道448号線を称して呼ばれる日南フェニックスロードは、天気さえ良ければ写真のように青い空と海に包まれて日本でも屈指のドライブコースであるが、海岸線に山が迫っている地形から一旦風雨に襲われるととたんに非常に厳しい難所となる。実は年に一度は崖崩れがある九州でも有数の危険地帯で、大雨の度に通行止めになるところなのである。現に3年前のゴールデンウィークにはバイクで都井岬から高千穂まで北上したが、1日で100mmを越える雨に見舞われてヒヤヒヤしながら通過した。当然、眺めを楽しむどころではなく、ただひたすらに雨と風と寒さに堪え忍ぶだけだった。

ところが今日は青い海と青い空に達郎サウンドが冴え渡り、窓から少しだけ入ってくる風が心地好く髪を撫でてゆく。気分は早くも初夏モード。今回は3年前の雪辱戦としての意味合いもあったのだが、その点では文句無しの天気で爽快なドライブを楽しみながらも、次はバイクで来ようとまた決意を新たにするのであった。

都井岬灯台からの眺め
都井岬灯台から眺める太平洋の大海原

「歓迎、広島カープ」の旗が揺れる日南市を抜け、南郷町から国道448号線に入ると少し道幅が狭くなるが、交通量も少なく暖かい陽射しを浴びて快適なシーサイドドライビングを楽しむ。串間市へ入り、イモを洗って食べる猿で有名な幸島を過ぎると間もなく都井岬

観光道路入り口のゲートでパンフレット代\400(ちなみにバイクはパンフ無しだけど\100)を払って岬を目指す。いくつかコーナーを抜けると都井馬が横断中だったので一時停止。慌ててデジカメを取り出すが結局間に合わず。f(^^;;

9時半都井岬灯台に到着。岬だけに風は強いが、3年前とは打って変わった晴天に気分は最高。晴れならではの絶景を存分に堪能し、都井馬の写真を撮ろうとビジターセンター付近まで戻る。駐車場に車を止めて見渡したところ、近くには馬の姿を見かけない。暫く待ったものの馬が寄ってきそうな気配も無いので、場所を変える事にして車をバックさせた。

いや〜ん
痛々しい傷跡……反省

切り返すために充分に下がって一旦車を止めたが、後ろには車もなくまだまだ余裕があったので念の為もう少し下げようとクラッチを繋いだ瞬間「ドン」といういや〜んな鈍い音が....。

なんとすぐ後ろに横断歩道の標識が待ち構えていたのだった。(;_;)

完全にピラーの陰に隠れて気が付かなかったのだが、スピードもほとんど出てなかったのでバンパーにちょっと傷が入ったくらいで標識も無事。これくらいのキズは全然気にしないのだけど、何より人じゃなくて良かった良かったと、反省モード。しかしまぁ、こんなとこで腐ってもしょうがない。ちょっと調子に乗りつつあったのでこれも何かの戒めか、教育的指導であろうと勝手に解釈して、また旅を続ける。

結局、路上をわが物顔で歩く都井馬に出会う事はできず、防護柵で隔離されたところの写真を撮ったところでちょうど10時を過ぎたので、都井岬を後に串間市街へ向かう。

草を食む都井馬
小柄でちょっとずんぐりむっくりな都井馬

都井岬から国道448号線串間市街へ向かう途中、本城というところに串間温泉がある。ここは4年前にできた新しい温泉で、3年前にこの辺のラーメン屋のオヤジから教えてもらった穴場中の穴場。弱アルカリ性のお湯は非常にヌルヌルしていて湯上がりも非常に気持ちいい。入浴だけで\400とリーズナブルだが、さらに昨年には宿泊施設もできていて2人で\10,000〜\12,000(食事代は別)とこちらも魅力的でオススメ。当然、今回も入浴のみで11時すぎに出発。

串間温泉 いこいの里 TEL.0987-75-2000 FAX.0987-75-2280

再び串間市街からは国道220号線に合流して、志布志湾を左に見ながら快走する。

いつの間にか雲が多くなりまた風も次第に強くなってきた。鹿児島県に入るといよいよ雲行きが怪しくなってきたので、道の駅「大崎」で情報収集。ちょうど12時前だったのでTVで天気予報でもあるだろうと思ったが、残念ながら肝心のTVが無くやっぱり願いは叶わなかった。ちなみにここにも温泉(入浴料\300)があるが、さすがに今回はパス。食事でもしようかとも思ったがレストランの入り口にメニューが無かったので、ちょっとビビって止めてしまった。

風雲急を告げ…

結局トイレ休憩だけで車に戻ろうとしたところ、空から何やら固いモノが降ってきた。なんとアラレである。ラジオで天気予報を確認したら、今年最大の寒気団が南下していて鹿児島市内でも雪が舞って桜島も冠雪しているという事。午後は更に風が強くなって最大風速10mの予報を聞いて、バイクで来なくて良かった....と胸をなで下ろした。

雪を頂く桜島
珍しく雪化粧した桜島
@湯之平展望所

本当ならば内之浦を周って佐多岬へ行きたかったところだが、この天気では行くだけ無駄なので、取り敢えず鹿屋に向かう事にした。鹿屋と言えば特攻隊だが、戦史資料館などはあまり趣味じゃないので、さてどうしたもんかと思案する。ローソンでおにぎりを頬張りながらFRENDS-FMを聴いていたら、ナビゲータが「桜島が冠雪していてキレイだった」と言う。冠雪した桜島というのも滅多に観る事ができないだろうから、というわけで午後の行き先は桜島に決定し、再び意気高らかにアクセルを踏む。

1997年10月に開局したFRENDS-FM(URL http://www.friendsfm.co.jp/)は藤井フミヤ氏が取締役スーパーバイザーとして参画する事でも話題になったが、鹿児島で2局目の民放FMであり(つまりJFN系列ではなく)、自社制作のローカル番組が50%を越える地域色豊かなステーションである。福岡ではやはりローカル系のCROSS-FM (URL http://www.crossfm.co.jp/)のヘビーリスナーであるせいか、鹿児島県内ではもっぱらFRENDS-FMを聴いていたのであった。

鹿児島市街地を望む
雪雲に被われる錦江湾
@湯之平展望所

福岡を出てから既に500km以上を走っており、そろそろ給油しておきたい時期なので、沿道のスタンドの値段をチェックしてみる。が、どこも価格表示をしていない。垂水市内に入ってやっと価格表示しているスタンドがあった。が、なんとレギュラーで\97/L。福岡より20円も高く、ハイオク入れてもお釣りがくる値段。うーん、表示のないところはもっと高いということか…?

垂水を抜けて国道224号線に入るとフロントガラスに何やら落ちてきた。雪か?と思ったが何の事はない、火山灰であった。桜島は相変わらず噴煙を上げているようだ。14時20分に桜島の湯之平展望所に到着。車を降りる時に降り始めた雪は、展望台に付く頃には吹雪となっていて絶望の縁に追い込まれたが、数分後にはあっけなく治まった。

一般的には平日のはずなのに意外に観光客が多く、記念撮影のシャッターに応じたりしつつ、静かにそして速やかに時が流れた。特に錦江湾に覆いかぶさるような雪雲と、何かを隠すように降る雪が印象的だった。

防波堤を洗う高波
津軽海峡のように荒れ狂う錦江湾
対岸に開聞岳が見える

15時を周ったところで今夜の宿根占のユースにする事に決めて、電話で当日予約。さすがにオフシーズンのウィークデイ。今のところ他に一人だけとの事なので、のんびりできそうだ。

今度は国道224号線垂水まで戻り、取り敢えず給油する事にする。定番は出光なんだけど、どうも国道220号線には無い様だ。少し脇道に入ってみるが、どうも見当たらないので、もうすぐ三菱石油と合併する(事は今回の給油とは関係無いが)日石で入れる。満タンで31Lの給油。

トリップメータの距離が598kmなので、燃費は19.3km/Lと最高記録を更新。(^^)v

そんなこんなで気付いたら16時を過ぎてしまったので、この先は真っ直ぐに根占に向かう。

国道220号線を鹿屋まで戻り、国道269号線を南へと向かうが、だんだん空は暗く、風が強くなってきた。穏やかなはずの錦江湾も珍しく波が高く、やっぱり佐多岬に行かなくとよかったとホッとするものの、明日も無理かな?という思いが交錯する。

17時は過ぎ根占に到着。まず山川行きフェリー乗場に行って今日の運行状況を確認。やっぱり最終便は欠航になったとの事....。明日も予断を許さないという話にちょっとやな感じになった。

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撮影:Kodak DC-210 Zoom



YANO
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