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知床旅情

2002年3月4日(月)

冬のうた/Kiroro

朝日(dscn0097.jpg)
06:18 オホーツク海から昇る朝日

6時過ぎに同室のヘルパーさんの目覚ましに起される。やばっ、日の出の時間過ぎてるっ…と慌ててジャージの上からジャケットと革パンツを着込んで玄関に。すでに10人ほど揃っていたが、ちょうど水平線上の雲から太陽が顔をのぞかせてきたところでナイスタイミング。f(^^;;

日の出はもとより、雪景色との相乗効果も相まって荘厳な雰囲気もひとしお。氷点下10℃の寒さも、シャッターを切る事すら忘れて見とれるほどであった。

ひとしきり日の出を鑑賞した後は顔を洗って着替えたが、まだ朝食まで1時間程時間があるので再びカメラを片手に表に出てお散歩。

またそこそこ雪が降ったようで、昨夜の足跡の上にも新しい雪が積もっていた。ちょっと歩くと何やら動物の足跡も発見。大きさからとピッチから推測するとウサギかなぁ?見たかったな! ちょっと得した気分でウキウキ。(*^^*)

クルマを見送る犬(dscn0102.jpg)
06:56 ユース付近にて

7時半前に朝食にありつく。朝食はパンと小皿にスクランブルエッグとウィンナーと生野菜と至って標準的なもの。取り敢えずパンはお代わりして喰い溜めしておく。

結局、今日はおーろら号を諦めて一気にウトロに行ってしまう事にする。なわけで、明治入口9時17分発のバスに乗るべく、8時45分頃網走流氷の丘ユースホステルを出発。

見事な朝日が拝めたはずの空がいつの間にか分厚い雲に覆われてしまっていたのは残念だが、せっかくの雪景色を堪能すべくデジカメを片手にぶらぶらと昨日来た道を戻っていく。雪景色は単調になりやすいのできっちり撮るのはなかなか難しく、あとで見ると何じゃこれは?と思うのがたくさん出来上がってしまう。

雪道とオホーツク海(dscn0115.jpg)
09:09 明治入口バス停に続く急坂

その点で今回はわざわざ128MBのメモリカードを買って入れてきたので万全。高解像度の200万画素で撮影しても300枚近く撮れるので、何の心配も無く撮れるのがウレシイ。いや、そこまで電池が持つかという心配はあるが....

かなりの急坂だが新雪があるおかげか意外と足を滑らせて転ぶ事も無く、無傷でバス停に到着。持久力こそ無いが、我ながら反射神経はなかなかのものだ。と自画自賛。f(^^;;

ここで昨日ユースで一緒だった写真が趣味と言う女性ホステラーと再会。彼女も転倒を心配していたが無傷で降りてきたようだ。写真を始めてそれほど経ってないという事だったが、なかなかいいセンスの持ち主と見受けた。

程なく他にも数人のホステラーがやってきて9時17分網走駅行きのバスに乗車。写真やInternetの話をしながら網走駅までの10分の時間があっという間に過ぎてしまった....。

僅かに流氷が残る網走の海(dscn0118.jpg)
09:09 明治入口から二ツ岩を望む

しかし彼女の次のロケ地は美瑛YANOの目的地であるウトロとは逆方向。名残惜しくもここでお別れとなり、最後に「ステキな写真が撮れるといいね」という言葉を贈って、9時半発のオホーツク4号に乗り込む姿を改札の手前から見送る。

名も知らぬ間柄とは言え、やはり気の合った仲間との別れには一抹の寂しさがつきまとう。しかし、別れの寂しさがあるからこそ出逢いの喜びもひとしおなのだ。というのがYANO的一期一会の境地である。

YANOの乗るノロッコ号10時23分の発車。まだまだ時間はあるので観光案内所をチェックすると、『とほ』を売っているのが目に入った。そこでウトロとほ宿(『とほ』という小冊子に掲載されている宿を総称して「とほ宿」と呼ぶ)ボンズホームの電話番号を必死に記憶。澄ました顔で外へ出ると慌てて電話して、難無く今夜の宿を確保する。

ノロッコ号展望車内(dscn0123.jpg)
11:07 ノロッコ号展望車内

10時過ぎノロッコ号の改札が始まり、しっかり進行方向左側のボックス席をGet。どうせそれほど混まないだろう…と思っていたがさにあらず。なんと阪急交通主催のツアー客がどど〜っとやってきて、発車直前にはほぼ満席に。(@_@)

酔っぱらいオヤジ軍団に囲まれた上、結局進行方向も逆である事が判明。ったく何やってんだか。さいて〜>自分 ってわけで、反対側の席に移動する。

10時23分、ガッタンという音を残してノロッコ号網走駅を発車。しかしここ数日のオホーツクの海は春の装いで、ホームに仮設の流氷展望台が造られた北浜まで来ても流氷が全く見当たらない。海岸に打ち上げられ黒く薄汚れた流氷が何かを語っているような気がしないでもないが…? 

流氷ノロッコ号 網走〜知床斜里 \810(乗車券だけでOK)

遠くに流氷帯が!!(dscn0126.jpg)
11:08 はるか彼方に流氷帯が見える

ウトロまで行っても観られるのだろうか?と不安に思い始めた頃、浜小清水を過ぎたところで水平線近くに待望の流氷帯が魅惑的な白い姿を現した!!

知床半島ならば接岸しているかも \(^o^)/

ノロッコ号止別知床斜里の海岸沿いに走る区間で速度を30km/h程度にまで落してのんびり走る。まさにノロッコという名前の由来でもあり、流氷をゆっくり眺められるよう意図した粋な計らいである。まぁ、流氷があればこそなのだが。

しかし、昨日午後のノロッコ号では全く影も形も観られなかったという事だったので、だいぶ接近しているのだろう。ウトロでは期待できそうだ。

ノロッコ号11時23分知床斜里駅に到着。駅前の斜里バスターミナルで慌ただしく乗車券を買って、11時半ウトロ行きバスに吸い込まれる。

Winter Bells/倉木麻衣

待望の流氷!!(dscn0131.jpg)
12:02 R334真鯉付近にて

バスは20人程の乗客を乗せ、R334知床に向けて走る。路面は除雪も行き届き完全にドライコンディション。これならレンタカーの方が便利だったかなぁとちょっと思いつつも、今さらどうしようもないので考えなかった事にする。

峰浜の集落を過ぎると目の前が開け、広大なオホーツク海のパノラマが飛び込んでくる。

きゃっほ〜、流氷だ!!

先へ先へと進むに連れ、少しずつ流氷が岸に近づいてくるというシチュエーションもなんかいいやね。

オシンコシンの滝付近では流氷が遠くなったものの、ウトロに近づくと再び流氷も接近した。バスは12時25分ウトロ温泉ターミナルに到着。ここで殆どの乗客を降ろし、5kmほど先の終点知床自然センターに向かう。

安っぽいカンジキ(dscn0134.jpg)
12:56 カンジキ装着

バスが幌別川を渡りタイトコーナーが続くワインディングに入ると、道の両側にエゾシカがわんさかとお出まし。一心不乱に残雪を掻き分けて草を食べている。

またプユニ岬から見下ろすオホーツク海も、流氷がイイ感じで広がりなかなかの絶景。このシチュエーションで帰りは徒歩で下る事を決意する。

あとはキタキツネが出てくれば完璧かな?な〜んて思ってるうち、12時35分知床自然センターに到着。

積雪計(dscn0136.jpg)
13:05 積雪120cm

さて知床自然センターに着いたはいいものの、ここでどうするかは何も考えてない。そもそもウトロに来る自体、最後の切り札だったし。

取り敢えずは、最優先課題であるウトロ温泉ボンズホームまで1時間程歩かねばならない事を考えると、時間は2時間半ほどあるので館内をチェック。

ダイナビジョンという大型映像展示館\500もあったが「こんないいお天気でインドアでもなかろう」と速攻で却下する。

アウトドア系では3つの散策ルートが設定されていて、フレペの滝(乙女の涙)まで2kmというのが目に止まった。そういえば車内でも「滝まで行ける?行けない?」という話が出ていた事を思い出し、案内所で聞いたところ滝は海岸にあり眺望も良く流氷も観られるという。カンジキを借りれば1時間程で往復できると言う事なので迷わず決定。

林の向こうに雪原が見える(dscn0137.jpg)
13:06 いい雰囲気の林の中

売店でカンジキとスパッツを借り(\1,000)、昼メシを喰うのも忘れて出発。

少し歩く、とバスで「滝がどうのこうの」と言ってた男性がクロカンスキーでコケている現場を目撃。

その巨大なザックを背負って慣れないスキーは無理でしょう…と思ってたら、案の定「やっぱりカンジキに交換してもらおう…」と言い残して戻っていった。(笑)

思ったよりアップダウンがあるが、さすがにカンジキを履いていると圧雪路も滑らず全く苦にならない。なるほど知恵モノアイテムだ。

羅臼岳を望む(dscn0139.jpg)
13:13 羅臼岳を望む

林の中を10分ほど歩くと、羅臼岳が展望できる雪原に出る。

それにしてもいいお天気。思わずゴロ〜ンと寝転がってしまいたい衝動に駆られたが、すんでのところで背中に荷物がある事を思い出して踏みとどまった。

試しに新雪に踏み出してみるが見事に埋らず、ここでもカンジキ効果を遺憾なく発揮。う〜む、ひとつ買って帰ろうかな?と思うほど気に入ってしまったよ。

草を食むエゾシカ(dscn0142.jpg)
13:23 草を食むエゾシカ

しばらく歩くと今度はエゾシカの群れが草を食んでいるところに出くわす。

が、こちらに気付いてもチラチラ見るだけで逃げようとはしない。

人に馴れているのか、それとも食べるのに忙しく人間なんぞには構っていられないのか。そんな事は無いよな…

そういえばYANOも昼メシを喰ってなかったので、チョコと飴玉をほうばり、腹の虫をごまかす。

オホーツク海に浮かぶ流氷(dscn0143.jpg)
13:28 これぞ流氷の風景だ

さていよいよ乙女の涙展望台に到着。乙女の涙はちゃんと凍っている様子だが、今のYANOにはどうって事ない事である。

さて肝心の流氷は…というとちょっと距離はあるものの、青と白のコントラストも美しく、まぁ悪くない眺望だ。しばし「神風よ吹け!!」と祈りながらぼんやりのんびり。

知床硫黄山の展望も見事なんだが、ちょっと笠雲がかかっているのが惜しい。しばらく雲待ちをしてみるが、なかなかスッキリとは晴れてくれないんだな、これが。

そうこうしていると、流氷ではなく雲が寄ってきたので、断腸の思いで撤収を決める。

知床硫黄山と草を食むエゾシカ(dscn0144.jpg)
13:29 知床硫黄山とエゾシカ
流氷(dscn0147.jpg)
13:42 だいぶ寄ってはいるんだけど…

白い雲のように/藤井フミヤ

R344を歩く(dscn0156.jpg)
14:43 YANO歩くの図

帰路も適当に写真を撮りながら30分程で知床自然センターに生還し、カンジキとスパッツ、それと案内カードを返却。イスに腰を下ろして「久々にいい運動になったなぁ…」と思ったが、ここから更に5km歩くんだった。

時計は14時15分。ちょうどダイナビジョンの上映が始まる前だったのだが、曇りきる前にプユニ岬に行きたいのと、この疲労感の状態でシアターに入ったら寝ちゃうかな?というのもあって、PETボトルのお茶を飲んで少し休憩したあと動き出す事にする。

知床自然センターの外に出て、雲で埋め尽くされた空を見上げて、テンションダウン。う〜む、天気予報がしっかり当っているなぁ。

ちなみに本日の最高気温は-1℃だが、風が無い事もあって思ったほど寒くなく、凛とした引き締まった空気は心地好いほど。下り坂なので路面が圧雪や氷結してると目も当てられないだろうが、歩道にもあまり雪は残っていないので全然苦にならない。

流氷とエゾシカ(dscn0163.jpg)
15:02 エゾシカ@プユニ岬

取り敢えずプユニ岬までは林の中で展望は効かない。どんどん歩け〜とばかりに道端に残った雪を蹴散らしながら呑気に歩いてたら、10mほど先の道路をエゾシカがダッシュで横断して行った。ふと、周りを見渡すとあちこちでエゾシカが草を食んでいる....。

バスの中では感じなかったが、向こうは野生動物独特の緊迫感を発している。しかも多勢に無勢とくればこちらが形勢不利と相場は決っている....。他所者は恐縮しながら静かに歩いて行く事にする。

海開けか?(dscn0164.jpg)
15:03 ウトロ温泉街を望む

30分程でプユニ岬に出たが、残念ながらどんよりどんよりした曇り空の下では午前中の感動のカケラも感じられなかった。流氷が少し離れているような気もしないでもない....。

夕陽も期待できそうに無いので、そのままウトロ温泉街へと足を進める。

それにしても周りはエゾシカだらけ。こんなに多いの?と思うほどで、なんか有り難みもなくなるなぁ。と言いつつ、写真を撮りまくる。f(^^;;

流氷と戯れる(dscn0175.jpg)
15:38 流氷ウォーク

幌別川を渡ると海沿いにてくてく歩く。と、流氷の残る港内で潜ってる?ようなグループを発見。

近くで見ていた人に訊くと、潜る訳ではなく海の中や流氷の上を歩いたりする流氷ウォークらしい。寒そうだなぁ…と思ったんだが、あれは普通の服の上から着るドライスーツで汗をかく事があるほど暖かいらしい。

なるほど、もうちょっと流氷が多いと楽しそうだなぁ。

16時ウトロ温泉街に入った。が、入浴だけできそうな施設が見当たらず、そのままボンズホームにチェックインする。

ボンズホーム 一泊二食\4,800 TEL:01522-4-2271

オーロラ?(dscn0182.jpg)
20:11 オーロラファンタジー

訊くところによると10分ほど坂を上ったところに日帰り温泉施設があるという事だったが、取り敢えずもう歩きたくない....。というのが正直なところだ。ちなみに夕陽台の湯は夏だけ

夕食は自慢の栗じゃがいもがホクホクしていて美味かったが、品数も多くてボリュームもたっぷり。昼メシ抜きで腹ぺこなYANOも満足であった。もちろん、写真を撮るのもすっかり忘れて喰いまくってしまったのだが。f(^^;;

夕食後は20時から同宿となった東京からのライダー氏(もちろん今回はバイクではない)と連れ立ってオーロラファンタジーへ出動。どうせその辺にあるレーザーショーと同じでしょ?と思ってたのだが、無料とは思えない出来栄えに拍手。まぁあれをオーロラというにはムリがあるが、クリオネ(デジカメでの撮影は当然失敗したが)の動きは実に見事で天晴であった。

観光を盛り上げようという地元のただならぬ熱意が感じられたね。

その後は本格的に降り出した雪に流氷接岸の思いを託しながらボンズホームに戻り、北里大卒業旅行チーム5人も合流して0時近くまで話が盛上がった。また楽しからずや。しかし、妙に北里大に縁があるような気がするなぁ。

本日の移動距離 約91.7 km

撮影:NIKON COOLPIX 800

明日への扉


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