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美ら島 2001冬

2001年12月17日(月)

伊良部島へ

高速艇とMTB(dscn0100.jpg)
8:34 伊良部島行き"うぶゆう"

早めに朝食を済ませた後、8時過ぎにユースをチェックアウト。通勤通学で賑わう朝の平良市街を10分ほど流して平良港に到着。邪魔臭い輪行袋とデイバッグ、長袖シャツはさっさとコインロッカーに預ける。今日の午前中は伊良部島で過ごすのだ。

高速艇の後部デッキにMTBを積んで定刻に離岸。と思いきや、やおらMTBで疾走してくる外人ライダーがあり再び接岸して収容。このへんの大らかさがローカルの良さだよなぁ....。というわけで、定刻の8時50分から少し遅れて平良港を出港。双胴の高速艇は穏やかな美ら海を滑らかに走り始める。しかしこのあたりの海も吸い込まれそうな程に美しい〜。わずか15分ほどで伊良部島佐良浜港に到着した。ちなみに自転車込みで往復\1000、旅客片道は\400。別便でカーフェリーもある。

さて今日はここから時計周りに伊良部島下地島を周るのだ。

ちなみに伊良部島佐良浜港のある東に向かってなだらかに標高が高くなっている。

ヤマトブー大岩(dscn0105.jpg)
9:15 ヤマトブー大岩付近

もちろん海に面した港そのものは海抜0mなので、港からは一気に坂を登らなければどこにも行けないのである。幸いまだ朝のうちで体力気力共に充分。インナーを使いながらも腰を引いてグイグイ登ってピークをクリアして南へ。

道の両側にはコンクリート作りの独特な形をしたお墓が美ら海を見守るように整然と並ぶ。これは台風対策も兼ねた一種の琉球様式なのだろうが、お墓だけにちょっと写真は躊躇われた。

この先はクルマも滅多に見かけない二車線の快適ロード。亜熱帯林の木陰をゴキゲンなスピードで下って、ヤマトブー大岩を過ぎると道路が海の上に!! 波消しブロックがかなり無粋だが、海に向かってのダウンヒル、海の上を走るような気分は実に魅力的だ。

いやな雲は去ったが、陽射しがそれほど強くない。そのせいか海の色はエメラルドグリーンというよりもだいぶ蒼い。しかし魅き込まれそうな程ピュアな美しさには変りが無い。

その後も暖かい南国の空気をお腹いっぱいに吸い込み、『自転車なんだよ人生は』by東京プリンの「漕ぐ漕ぐ漕ぐ漕ぐペダル〜♪」のリズムに乗ってFun Ride。ここまでかなり走ってきたがクルマは3台追い越されただけで、予想通り殆ど走ってない。快適〜。

渡口の浜

美しい浜辺(dscn0107.jpg)
9:33 渡口の浜

快調なペースで長山港を過ぎ、9時半渡口の浜に到着。

日本の渚百選に選ばれ、どこを見ても美しい海岸である宮古島周辺でも一二を争うと言うビーチがここにある。さすがにこの季節では人影は無く静かだが、それだけに美しさもひとしお。

その名も渡口の浜という海の家風の店でもはや定番となったブルーシールのアイスを買い入れ(さすがにフレーバーは忘れた…)、しばし真っ白な美しい砂浜に佇みひとり黄昏る。

ここで時間を止めてしまいたいのは山々なのだが、残念ながらしがない雇われの身。今日の午後の飛行機で退屈な日常に帰らねばならないのだ。15分程まったりとしたところで腰を上げ、気合を入れてMTBに跨がる。さぁ行くぞ。

ここから県道を離れ下地島へ。すぐに小さな橋で小川を渡ったと思ったら、実は川ではなく水道。つまり海を渡ったということで気がつけば下地島である。

道の両側には赤茶色の更地とサトウキビ畑が広がり、YANOものどかな風景のひとつに溶け込む。間もなく下地島空港の誘導灯の間を抜けて右ターン。ここからは滑走路と並行する真っ直ぐな道路を走る。しかし林の中なので滑走路が見えるどころか風景はちっとも変らずつまらない。

だらだら走っていると女性二人組みのアルトが追い越してゆき、だいぶ先で左折するのが見えた。そこまで行くと頭上に案の定「←通り池」の案内板がある。「ここが通り池か!!」と続いて左折する。

通り池

「うぉっ、ダートやんか!!」と躊躇したものの、まぁMTBだし。と突き進むと程なく小さな入り江に出た。アルトは右側に入ったところに止まり、女性二人が降りてなにやらキョロキョロ。YANOも取り敢えず「こんにちわ〜」と軽く声をかけたものの、「ここが通り池かぁ?何の案内板も無いじゃん」と思いながらMTBを駐める。正確にはそこらへんに転がしただけだが。

観光ポイントらしさはかけらもないが、散らかるゴミなどからそれなりに人の出入りがある事は確かなようだし、パッと観たところ100mほど先に通り池っぽい雰囲気の高台も....だがそこまでの道がまるで無い。という事は海を潜っていくしかないのかな?と思いつつ、ここまで来たからにはと微かに人の通った形跡を辿るように岩場を歩いてゆく。さすがに女性二人は遠くから眺めているだけだ。

かなり足元の悪い岩場を手を付きながら10分ほどで雑草に覆われた高台まで登り詰めた。さぁいよいよかと思ったがここで形跡すらなくなり追跡不能に。まさか彼女たちは付いて来てないよなぁ…と思い振り返ると、女性二人は諦めてクルマに戻ったようでホッとする。

さてYANOもここまでか?と思ったが、永井龍雲『道標ない旅』で「君が歩けばそこに必ず道はできる」と唄ったように、道なき道を行くのもまた人生かと割り切って行こう。

通り池(dscn0108.jpg)
10:19 通り池

かと0.01秒程思ったが勇気無く撤退を決断する。宮古にハブはいないとしても、肩より高く生い茂る雑草を掻き分け足元が不安な岩場を歩いて行くのは危険過ぎる。というより、冷静に考えればどの観光ガイドにも必ず載っている通り池にこんなアクセスしかないはずが無いのだ。

再び入り江に戻ると、YANOを惑わせたアルトは影も形もなかった。MTBはあった。そういえばカギも掛けてなかったし、グラブも無造作に置き去りだった。まぁ大丈夫だとは思っていたが....

再び道路に戻って案内板を見上げると「←通り池」の下に"100m先"と書いてあり、100m先にはロータリーまである立派な交差点があった。これをボーンヘッドと言わずに何と言おう? ゴキゲンな走りでテンションが高かったとはいえ、冷静さを失っておねえちゃんに吊られて曲がってしまった自分の間抜けさ加減に呆れて言葉が無い。通り池より深く反省せねばなるまい。

立派な通り池駐車場にMTBを駐め、これまた力の入った遊歩道を3分ほど歩くとあっさり通り池が目前に広がる。おぉっ、という程の美しさが無いのは残念ながら雲が陽射しを遮っている為だ。少し天気待ちをして雲の流れを追いかけてみるがそう簡単には陽射しは望めそうになく、一枚だけ写真を撮って撤収を決める。悔しいっ!!!!

ちなみに通り池は地下で繋がった2つの池で、海に近い大きな池は洞穴で海にも繋がっている事から、ダイビングスポットとして有名なところである。という事から地上から見ると時間や気象状態によって移り変わる神秘的な色合いが観られるそうだが、それ以外はあまり大したインパクトは無さそうだ。やっぱりモグらにゃ損か?

下地島空港

MTBと海と誘導灯(dscn0109.jpg)
10:37 下地島空港滑走路端にて

さて下地島空港は日本で唯一の民間航空会社パイロット訓練専用飛行場で、他ではまずお目にかかれない旅客機のタッチアンドゴーが見られる場所として知られている。もちろんいつでも見られると言う訳ではないので、詳しくはSierraさんの「下地島空港ガイド」を参照の事。

さて再び下地島空港の周回路を周って滑走路の端に出る。もちろん飛行機が飛んでいればベストだが、そうでなくても海がキレイな良い撮影ポイントなのである。

しかしながら雲行きは思わしくなく薄曇りで推移し、取り敢えず一枚だけ撮って天気と飛行機待ち。しかし、待てど暮らせど何の変化も無い。まさに時間が止まったように....

20分ほど経過した頃だろうか?空からバラバラ…という音がして、何かしらの飛行物体が飛んできた。

ヘリコプターだ。

「な〜んだ飛行機じゃないのかぁ」とガッカリしたのだが、飛行訓練の前の安全確認か何かの為の飛行かも?とも思って、期待が高まる。が、10分ほど待っても飛行機は来ない。逆にヘリが空港の上空を行ったり来たりしているという事は、飛行機の訓練にとっては逆に邪魔している事になるので、訓練前の露払いというのは考え過ぎのようだ。

ということで、天気もイマイチだし11時に諦めて下地島空港を離陸、じゃなく撤収。今度はちゃんと訓練予定を調べてから来よう。

干潟に大岩が転がる独特の佐和田の浜を横目に伊良部島へ渡り、海岸線ばかりじゃ芸がないと思い中央突破。島の中央を横切る県道204号線佐良浜港へ。が、良くも悪くもサトウキビ畑が広がる風景だけだったので、やっぱり海岸線北回りの方が良かったかな?と思う。

佐良浜港に着いたのは11時半前。ちょうど"ゆがふ"が出るところだったので、自販機でダイエットPEPSIを買い込んでそのまま乗り込み下地島に別れを告げる。

最後のランチ

A&W外観(dscn0113.jpg)
12:06 A&W宮古下里通り店

11時45分平良港に到着。コインロッカーから荷物を取り出してフル装備に戻る。少し雲が薄くなって明るく来たかな?

最後の昼メシを食べにリスタート。バナナキッチンタコライスでも食べようかな?と思ったがガラガラだったので躊躇し中心部へ流れる。結局、ジャンクフードマニアのYANOらしく沖縄ならではのハンバーガーショップA&Wをセレクトする。

ベーコンチーズバーガーとカーリーフライのコンボをチョイス。しかし、何と言ってもルートビアをアルコール飲料だと思って、アイスコーヒーをチョイスしたのは大後悔。帰ってからネットで調べてわかったのだが、ルートビアはハーブを原料としたノンアルコールのナチュラルドリンクで、ドクターペッパーのように不味いという話もあるのだがやっぱり一口でも味わっておくべきだった。

ハンバーガー自体は特に可も無く不可も無く、やっぱり佐世保のヒカリはもとよりモスバーガーにも一歩譲るところだ。ピリ辛のカーリーフライは新鮮な味わいで◎だったが....

Goodbye 南風

夏のような青空(dscn0115.jpg)
12:49 空港通りにて

12時半A&Wを出ると、外は目映いばかりの陽射しが溢れていた。何で帰る時になってこんなブラボーな陽射しになるか〜!!と思うが、いつもの如く天気ばっかりは致し方ない。ところどころで宮古島との別れを惜しむように写真を撮りながら、20分ほどで宮古空港に到着。

ターミナル横でMTBを分解し、輪行袋へパッキング。さすがに行きがけに苦労した甲斐があって15分ほどで完了。我ながら手際が良くなったものである。

ターミナルビル外観(dscn0116.jpg)
12:58 宮古空港ターミナル

手を洗ったあとJTAのカウンターで航空券の発券。案の定自動チェックイン機では宮古那覇しか発券されなかったので、行きがけの経験を活かしてカウンター嬢に福岡までの発券を依頼し無事チェックイン完了。

続いて手荷物預りカウンターへ。これも行きがけ同様に難なく完了し、手荷物検査場を通って搭乗ロビーへ。待合所の席に陣取ってまたまたブルーシールのアイスにむしゃぶりつく。

それにしても窓の外の空が眩しいほど青い事、青い事。帰る段になってこれかよ〜、という気もするが最初からこの陽射しだったら暑いし日焼けして大変な事になっていたかもしれん。そういういう意味では適当に曇っていた事はあながち悪かったとも言えないし、ラッキーだったと言えよう。

ただ「今回の旅で満足しているようではまだまだ。本当の宮古の陽射しと青空はこんなもんじゃないぜ〜」言われているような気がしてならないので、今度は本気の沖縄の太陽と正面から対決してみたいものである。

JTA 512便は真っ青な琉球の空に向けて定刻に離陸。2泊3日を過ごした宮古島に名残りを惜しむように旋回し雲の上の人となる。

那覇でのトランジットを挿み、3時間後の18時。気温6℃でみぞれ混じりの雨の福岡空港に降り立った瞬間、季節はずれの南の島の旅は夢のようにあっさりと終わりを告げた。

それにしても2時間余りの飛行で気温差20℃とは日本もなかなか広いモノである。

JTA512便宮古14:45→沖縄15:30\7050(前売り21)
JAL924便沖縄16:25→福岡18:00\7000(バーゲンフェア)

撮影:NIKON COOLPIX 800

おわり


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