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みちのく 2001晩秋

2001年11月10日(土)

紅と青の彩り

田沢湖渇水か?(dscn0067.jpg)
7時53分 田沢湖にて

7時前に目覚める。布団から唯一出ている顔が非常に冷たい。覚悟していた事とはいえ、やはり福岡の朝とは一味違う。意を決して布団から抜け出し、窓の結露を指で拭うと朝日が差してきた。「やった、晴れだ」

当たり前のように朝風呂でのんびりした後、慌ただしく朝食を済ませて7時45分にスタート。

バスに乗る前に取り敢えず田沢湖を肉眼で見ておかなくては....。と思って湖畔まで歩いて行ったが、どうも以前と湖の雰囲気が違う。

田沢湖の紅葉(dscn0074.jpg)
8時15分 田沢湖ユース付近にて

げぇっ、水がめちゃめちゃ少ない〜!!

日本一の水深を誇る田沢湖に何があったのか?と驚いたのだが、何の事はない湖岸補強工事をする為の人為的な調整なんだそうだ。ちゃんちゃん。

でも珍しい田沢湖の砂浜シーンを見られたのはラッキーと言う事かな。

散策はほどほどにバス停に戻り、目映いばかりの朝日に映える紅葉の写真を撮りまくり。明るい陽射しに燃えるような紅が美しく映える。偉大な太陽に感謝の心である。

秘湯、乳頭温泉郷

蟹場温泉(dscn0076.jpg)
9時32分 蟹場温泉

8時17分乳頭温泉行きバスに乗車。しかし、乗客はYANOの他には一人だけ。うむむっ、今はシーズンオフとは言え、通年で採算ベースに乗っているのだろうか?廃止も時間の問題か?等と心配になってしまう。

約30分揺られて標高約800mの乳頭温泉に到着。本当は情緒溢れる秘湯の雰囲気たっぷりな鶴の湯温泉に行きたかったのだが、バス停からかなり歩かなくてはならないという事から来る時間的な制約から、今回はバス停から近い蟹場(がにば)温泉をチョイスした。

蟹場温泉乳頭温泉のバス停から県道を200m程奥に進んだ突き当たりにある。もしあなたが世界一の方向音痴だとしても絶対に迷う事はない、と保証できるようなシチュエーションだ。

ここの流儀として、まずは宿の受付けで「入浴のみ」である事を告げ、恭しく入湯料\400を納める。それから宿の廊下を静々と歩いて裏口で備えつけのサンダルに履き替え、100mほど離れた露天風呂まで歩いて行く。って、特別な流儀でも何でもなく、当たり前じゃん....

そこはかとなく硫黄の匂いの漂う露天風呂は周囲を山の木々に囲まれ、まさに秘湯の雰囲気満点。周囲には沢山の落ち葉が積み重なっていて、もう少し早い時期ならば素晴らしい紅葉が楽しめたであろう事が想像に難くない。またこれからの季節は雪景色もまた趣深い事であろうが、そういう意味ではちょっと中途半端な時期であることは否めない。

とはいえ、自分の誕生日に文句を言ってもしょうがない。また欲を言い出すときりがないので、秘境の露天風呂でのんびり青空を見上げていられる幸せと、どこからか鬼束ちひろ『眩暈』が聞こえてくるような静けさに浸る....みちのくのお湯が乾いた身体と心に染み込むようだ。

乳頭温泉。ちょっと(*^^*)な名前であるが、風情と情緒豊かな清く正しい正統派みちのくの名湯である。

友、遠方より来たる

秋田新幹線こまち(dscn0080.jpg)
11時20分 田沢湖駅

ひとしきりリラックスした後、10時5分のバスで乳頭温泉を後に。麗らかな陽射しに車内はポカポカ陽気。温泉のリラクゼーション効果もあって爆睡しつつ田沢湖駅まで戻る。こうして寝てても移動できるところは公共交通機関さまさま。YANOにしては珍しくお大尽な旅気分。

ちょっと待ち時間があったので駅舎の中にある田沢湖観光情報センター『FOLAKE』へ。無料でWebアクセスできる端末が置いてあり、思わずメールチェックしたり掲示板に書き込んだりしてみる。f(^^;;

暫くして改札を済ませ11時31分「こまち12号」に乗り込む。なんと土曜日の午前中だと言うのに満員で、盛岡までデッキで過ごす羽目に....。(;_;)

盛岡駅前の風景(dscn0082.jpg)
12時20分 盛岡にて

12時08分盛岡着。まずは駅前の高速バス乗場を確認したあとで昼食を模索する。せっかくの盛岡なのでひとつ「じゃじゃ麺」でも食べたいと思ったのだが、ちょうど昼時と重なった不運もあってどこにも行列ができていた....。

バスの時間もあるのでここは無理をせず、ピロシキを買い込んでバスを待つ事にする。それにしてもピクニックにでも行きたくなるようないい天気。バイクで来れば良かったかなぁ、時間も気にせず「じゃじゃ麺」も食べられただろうし。と、ちょっとだけ残念。

12時50分高速バス「みちのく号」に乗車。バスは麗らかな陽射しに包まれた盛岡の街を抜け、盛岡ICから東北自動車道へ。左手に紅葉も終わろうとしている岩手山を見ながら快走。ポカポカとした車内でピロシキを食べた後まどろんでいたら、気を失っていた....。(-_-)zzzz

田山PAでトイレ休憩。山間の冷たい空気で一気に目が覚めた。もう山は冬の装いかと思っていたが、さにあらず。思ったより紅葉も残っていてまだ晩秋の気配であった。再び秋田県へと入ると、鹿角八幡平ICで東北道を降りR282を北上する。

定刻の14時28分小坂町に到着。迎えに来てくれていた、FTABI仲間であるオズマ氏と4年振りに再会する。みちのくに来たならば避けては通れない関所なのである。

小坂鉱山事務所(dscn0085.jpg)
16時14分 小坂鉱山事務所

ここからはオズマ氏の運転するイプサムで、みちのくオフの舞台となった秋元温泉へ案内してもらう。互いに積もる話を語り合いながらの楽しいドライブで、今度は青森県碇ヶ関村へ。

15時過ぎ秋元温泉に到着。先のオフ以降に火災で一部焼失したという事だったが、確かに立派になったような気がする。混浴の大浴場も、湯船こそ以前のままだそうだが、大きなサッシ窓になって非常に明るく開放的。かなり硫黄臭の強い温泉は確かに良く効きそうである。

温泉の後は再び小坂町に戻り、近代化遺産として保管・展示されている「小坂鉱山事務所」へ。明治期から大正期にかけて鉱産額日本一を誇った小坂鉱山のシンボルである小坂鉱山事務所。北九州で言うところの「八幡製鉄本事務所」であるが、悲しいかなこちらは木筋コンクリート製で老朽化が激しかったという理由で取り壊されたとの事である。

小坂鉱山事務所の内部は明治浪漫を感じさせるモダン西洋スタイルであり、当時の小坂鉱山の隆盛が偲ばれる。また小坂町や日本最古の芝居小屋「康楽館」を紹介するような展示もあり、現在では小坂町の情報発信ステーションという位置付けとなっている。なかなか興味深い施設であった。

その後はオズマ氏宅で奥様も交えて、楽しい夜を過ごした。

2001年11月11日(日)

何かに導かれ…

霜柱!!(dscn0086.jpg)
9時12分 オズマ邱にて

朝8時。顔の冷たさに目が覚める。YANOにとってはまさに冬の感覚。

それもそのはず、クルマのフロントガラスは霜が凍りついているし、地面には霜柱まで....。「晩秋じゃなくて真冬だ」と騒いでいたら、「地面が見えているから冬じゃない」との事。なるほど。(笑)

リンゴのシンボル(dscn0091.jpg)
10時21分 弘前駅にて

朝食後、オズマご夫妻弘前まで送ってもらい惜別。どうもお世話になりました。m(__)m

弘前駅には10時前に着いたが、トイレに行っている間に9時54分の青森行き電車が出てしまう。そして次の電車は11時20分....。飛行機が14時25分である事を考えると、青森市内で自由になる時間は1時間弱になってしまう。

逆に弘前から12時35分発青森空港行きのバスもあるので、弘前市内を2時間ほど散策する事にする。とはいえ2時間であちこち周れるわけでもないので、ここはDOJIO氏所縁の弘前公園をターゲットとする。

桜の名所として全国的に知られる弘前公園。みちのくオフもゴールデンウィークで、ちょうど桜祭りだったけなぁと思いつつ、この季節はどんな雰囲気なのかな?。

ちなみに弘前公園までは市内循環100円バスで15分程。市役所前で下車し近くの追手門から入ると、期待もしていなかった色鮮やかな紅葉が迎えてくれた。

岩木山(dscn0101.jpg)
10時54分 弘前公園にて

冠雪していなかったのはちょっと意外だったが、威風堂々した津軽富士岩木山の姿もまた凛々しく、実に絵になる風景である。桜の名所での思ってもみなかった素晴らしい秋の風景に、しばし時の流れを忘れて佇んでしまう。

この風景に巡り逢えたのも数分差で青森行きの電車に乗れなかったが故。何が幸いするかわからない、というよりも、何かに導かれてここまでやってきたような気がするというのはYANOの考え過ぎなのだろうか…?

紅葉を堪能した後は、喉が渇いたので循環バス待ちの間に弘前市立観光館へ。定番のシャイニーアップルジュースで一息つく。やっぱり青森と言えばシャイニーのアップルジュースなのである。

12時前弘前バスターミナルに到着。近くのマクドナルドでお昼を済ませ、12時35分発のバスで青森空港へ向かう。

青森空港でもやはり窓口でチェックイン。搭乗フロアの窓から見えるうっすらと雪を頂いた八甲田の山並をぼんやり眺めて、豊かな東北大陸との別れを惜しむ。

JAS918便は定刻の14時25分に離陸。快晴に恵まれ、鳥海山、月山、羽黒山はもちろん、田沢湖まで見下ろす快適なフライト。佐渡島から能登半島の上空にかけては、冠雪した立山連峰越しに遠く富士山まで観られたのは思っても見ないお土産で、実に感動的でウトウトする暇も無かった。

JAS 918便 青森14:25→福岡16:40
レギュラークラス:\9800(バースデー割得+チケットレス割引)

16時40分定刻に福岡到着。青森を発ってわずか2時間強である事を思うと、青森も意外に近いものである。

撮影:NIKON COOLPIX 800

おわり


Copyright (c) 2001 by Yoshihisa Yano
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