3年半後の2011年7月のアナログ停波に向けて、まったりと薄型TV検討中なのだが、この一週間で業界の勢力図に影響を与えそうな戦略的な発表があった。
今回の動きの中心となったのは21日にシャープとの業務提携した東芝で、シャープの液晶パネルと東芝のLSIを相互供給する模様。
東芝はIPSアルファテクノロジから手を引いて、日立、松下チームから一線を画す事になるわけだが、今年夏に発売したREGZA Z3500ではIPSアルファテクノロジ製でなくLGフィリップス製の10ビット広色域IPSパネルを採用したのはこの伏線だった事になる。
東芝は2009年に投入としていた有機ELテレビの発売延期を11日に発表しているが、この発表もまだテレビ向けパネルでは有機ELよりシャープの液晶の方に分があると判断が背景にあるそうだ。既に世界初の冠はソニーの「XEL-1」に持って行かれたわけだし、現実的な経営判断だろう。
一方、日立、松下チームは25日にキヤノンとの業務提携を発表した。
但し今回の提携ではキヤノンはデジカメのディスプレイなどに使われる中小型液晶パネルを生産している日立ディスプレイズを子会社化するという事。特許問題で立ち上げが遅れているSEDに変わって液晶テレビを出してシェア確保に走るのかと思ったのだが、個人的にはあまり影響はなさそうだ。
テレビ業界的には、どっちかと言えば日立寄りだったIPSアルファテクノロジが松下の子会社になるという事がトピックスなのだろうが、だからといって松下のテレビ戦略が変わってくるというわけでもなさそうだ。
というわけで、来年の東芝の液晶はIPS液晶からASV液晶に変わるのかな?
【参照】
●ITmedia News http://www.itmedia.co.jp/news/
┣「鬼に金棒」──シャープと東芝、液晶パネル・LSIを相互供給 2007年12月21日
┗日立、キヤノン、松下が液晶パネル事業で提携 2007年12月25日
●ITmedia +D http://plusd.itmedia.co.jp/
┣スペック表記に潜む落とし穴──応答速度の虚像と実像 2005年8月5日
┣TN? VA? IPS? ──液晶パネル駆動方式の仕組みと特徴を知ろう 2005年10月7日
┣あなたにベストな液晶ディスプレイはこれだ! 2006年2月28日
┣薄型テレビ向けの21型有機EL、東芝松下ディスプレイテクノロジーが開発 2007年4月9日
┣東芝、09年にテレビ向け有機ELを投入へ 2007年4月9日
┗東芝、有機ELテレビの発売を延期 2007年12月11日
●東芝 http://www.toshiba.co.jp/
●シャープ http://www.sharp.co.jp/
●松下電器産業株式会社 http://www.panasonic.co.jp/
●日立製作所 http://www.hitachi.co.jp/
●キヤノン http://canon.jp/
●IPSアルファテクノロジ http://www.ips-alpha.co.jp/