8月25日の転落事故から盛上がっている飲酒運転追放のムーブメント。ひき逃げや酒類を提供した側への罰則強化も検討されているが、危険運転致死傷罪成立後の経緯を考えても明らかなように法規制では往々にして抜け道が生じる不安がある。
そもそも何にも憶えていないくらい泥酔した人間に「酔っているから運転してはならない」という自覚を求めるのは無理なので、飲んで帰った後でも無意識のうちに近所のコンビニや自販機までクルマを走らせるという日常行動に走ってしまう事も考えられる事からも、モラル頼みで飲酒運転そのものを一掃するのは難しいと思う。
そう観点からも飲酒したら走らない車の開発という方向に注目したい。近々装置の搭載が義務化されるスウェーデンのボルボやサーブのアルコール検知機能付きキーユニットがそれで、日本国内でも義務化を検討すべきだろう。
しかし冷静に考えると、本質的には「アルコール成分」が危険なわけではなく「運転能力の低下」が問題なわけであり、どうせ全車義務化させるなら飲酒運転以外の危険運転も防止できるような装置にして欲しい。飲酒以外にも薬物中毒などドライバーの運転能力を奪う要因はまだいくつもある。
特にこれから大きな社会的な問題になりそうなのが「高齢・認知症ドライバー」の交通事故。これは本人のモラルどころか、全く悪気が無いだけに質が悪い。ただでさえ頑固でなりがちな高齢者に対して家族や周囲が説得したところで聞く耳をもたないどころか、強引に免許証を取上げ返納させたとしても逆に意固地になって無免許で運転するケースすら考えられるので、最終的には本人が納得する形で自覚させるのが一番だと言われている。
という観点から、例えば『グランツーリスモ』のようなドライブシミュレーターで技能判定するのはどうだろう?(冗談半分だが)まさしく予選気分(笑)。現実的にはそこまで高機能でなく、「もぐらたたき」みたいな反射神経的なゲームや簡単な暗算でも良いかもしれない。頑固爺にも注意力・反射神経低下の自覚を促す事ができるだろうし、いいトレーニングにもなるんじゃないかと思うのだが。
【参照】
●読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/
┣運転免許更新時 認知症を検査 2006年2月2日
┣70過ぎた夫が無謀運転 2006年8月7日
┣飲酒車?に追突され乗用車が海へ転落、幼児3人死亡 2006年8月26日
┣飲酒したら走らない車、国内メーカーが開発に意欲 2006年9月14日
┣飲酒運転の法改正へ、酒類提供に罰則新設 2006年9月14日
┣飲酒死亡事故、福岡市職員を送致…危険運転致死傷で 2006年9月15日
┗飲酒運転3児死亡事故、福岡市が今林容疑者を懲戒免職 2006年9月15日