ツーリングで最も多いトラブルが(トラブルと言えるかどうかはともかく)「レバー曲がり」だろう。年に2度は披露する得意技でもある「立ちゴケ」に限らず、駐めてる間に風で煽られたりしてバイクが倒れる事も少なくなく、ツーリング先での思わぬ災難に少なからず凹んだ経験はライダーなら誰しもあると思う。
こんな風にめがねレンチを通して… |
カウルやミラー、バーエンドの傷は見なかった、気付かなかった事にするとしても、ぐんにゃり曲がったレバーはブレーキやクラッチの都度凹んだ気持ちにメンタルな追い打ちをかけ、特にブレーキレバーが遠くなると反応が遅れる事もあり安全運転の観点でもよろしくない。
たまにしか乗らない人ならスペアを常備して交換しなさいと言うのが基本だが、YANOのようにちょこちょこ倒すうっかり者が毎回交換してたら結構な散財になってしまうし、そういう時に限ってスペアを持ってなかったりするものだ。曲がってはいるものの取り敢えず使えるレバーがあるのだから、「元通りに」とはいかなくても応急措置しておくべきだろう。
単純に100kg以上のバイクの重みで曲がった金属棒を素手で曲げ戻そうと思ったところで、相当マッチョな人でも非現実的なお話しなのだが、めがねレンチを使う事で女性でも簡単に戻す事ができる。乱暴に言うとテコの原理でゆっくり力をかけてあげれば良いのだ。
基本的にはレバーを外してから2本のレンチをレバーの両端に引っ掛けて、両手で加減しながら「ゆっくり」力を入れて曲げる。バーナーがあれば焙って熱を持たせた方が曲がり易いが、曲がり過ぎてまた戻したりすると却って逆効果なので要注意。レバーは基本的に折れる前に曲がるようある程度柔らかい素材で作られているので、「ゆっくり」力をかけてあげればそう簡単に折れはしない。何はなくとも「ゆっくり」が大事。
オフセットのあるタイプならば写真のようにハンドルに付けたまま1本でできるお手軽さだ。適用レンチのサイズはレバーエンドの大きさによって変ってくるが、経験的には17mm以上あれば大丈夫では無いかと思われる。基本的に大は小を兼ねる。
但し、これはあくまでも応急措置。曲がる度に折れ易くなる金属の特性から何度も使える技では無い事を理解した上で、早めに新品と交換すべきだ。
言うまでもなく、この記事を真似てレバーが折れたりしても一切責任は持ちません。ハンドルを握るライダーたるもの愛車の整備は全て自己責任だと考えます。普段はショップにお任せできても、ツーリング先で頼れるのは自分しか居ないのだから。