6月3日に発生した東京都港区での高2エレベーター死亡事故。当該物件の2機エレベーターでは過去14ヶ月に43件ものトラブルがあったという報道を受けて、他からも連日数多くの故障事例が続出している。
1/8 福岡空港にて |
今回の事故原因については解明が行われているところだが、何度も上がったり下がったりを繰り返したり、どうにも制御ソフトの問題としか思えないような事例も漏れ聞こえる。
エレベーターに限らず、コンピューターやソフトウェアの制御下に無いものを探す事のほうが難しい現代社会において、ソフトウェアのバグに起因するトラブルという新しいリスクがある事は、東海道新幹線が緊急停止した事例などからも明らかだし、またハイテクの塊である航空機の世界でも心配されるインシデントが起きているという記事がITmediaで報じられている。
単純に検査不足とかいうのは問題外だが、例え製品出荷時に充分な試験を行って安全性を担保したとしても、ソフトウェアの追加やバージョンアップ、あるいは通信相手となる対向ソフトの改変によって予期せぬ問題が発生する危険性を否定できないのが現状だ。
とは言うものの、記事でも「北米では、1980年代後半の事故率は100万便中1.3件だった。2004~2005年には、これが100万便中0.4件にまで下がった」と書かれているようにコンピューターの導入が経済性のみならず安全性の向上にも寄与している実績がある。これを無視して時計の針を戻すような判断はあり得ない話だろう。
将来に渡っての品質をどう担保するのかというのは、ソフトウェア業界がこれから取り組んでいかないとならないテーマになりそうだ。
【参照】
●Yahoo! News http://news.yahoo.co.jp/
┗高2エレベーター死亡事故 http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/local/elevator_accident/
●ITmedia http://www.itmedia.co.jp/
┗[WSJ] あわや墜落のケースも――航空機にもあるソフトのバグ 2006年6月9日
●日経ITPro http://itpro.nikkeibp.co.jp/
┗東海道新幹線が車載コンピュータの原因で緊急停止、5月末までにプログラムを改善 2006年4月12日