2004年7月に発表されたJCBの小額決済サービスQUICPayに申し込んでみた。
FeliCaを利用したいわゆる「おサイフケータイ」に対応している事から電子マネー的な気配を漂わせているものの、実のところは決済時の与信確認とサインを省いたクレジットカードのサブセットである。現実的にはQUICPayだけの利用は想定されておらず、通常のクレジットカード会員に対してのみQUICPayが利用できるという事なので、「子カード」という表現が最も適当だろう。
QUICPayカード |
ちなみに「おサイフケータイ」が無くても、FeliCa対応のQUICPayカードを発行してもらう事ができる。QUICPayカード(ID)は複数発行できるので、家族カード代わりに使うのにもいいかもしれない。
使い勝手は基本的にクレジットカードと同じ。プリペイドではなく後払い方式なのでいちいち残高を気にする必要はない。また万が一紛失して悪用されたとしても保険で救済されるし、ポイントやマイレージも付与される。ネガティブな内容としては1回の買物で最高2万円という限度額が設定されている事くらい。まぁ「小額決済にご利用下さい」と謳っているので当然といえば当然だ。高額決済は通常のクレジットカードを使えばよいだけの話だ。
そもそも通常のクレジットカードでも小額決済が利用できないわけではないし、スーパーやセルフのスタンドなどサインが不要なところも少なくない。とはいえ、今後コンビニなどの小額決済市場へ参入しようとするにあたってカードリーダーや通信機能を要するクレジットカードのスキームを小売り店に強いるのは敷居が高い。特に自販機などへの適用まで考えると加盟店側に負担の軽いQUICPayという新しいスキームが必要になったという事業者側の事情が垣間見える。
昔、ガソリンスタンドでは現金単価よりもクレジット払い単価が高かったものだが最近はクレジットの方が安くなっているように感じているが、現金客は歓迎されない方向に向かっているのではないかと思う。これはセルフのガソリンスタンドや自販機など無人決済機の現金を狙う窃盗事件が増えているという切実な問題が背景にあるような気がする。つまり人件費の圧縮を狙ってセルフ化したところにガードマンを増やすなんて事は本末転倒なので、多少価格を下げてでもキャッシュレス化を勧めたいという小売店側の事情にも合致するものだ。
今では道端の自販機に鎖を巻いたり厳重に鍵をかけたりものものしい雰囲気を醸し出しているところもよく見かける。「道端に商品と現金を放置している」と外国人を驚かした自販機を取り巻く風景ももはや「今は昔」だ。無人決済設備のキャッシュレス化を勧めるというのは地域犯罪を未然に防ぐ効果をもたらす可能性があり、積極的に受け入れるのは我々市民にとっても有意義な事でもあると思う。
つまり、3者の利害がうまく一致するところからも小額決済のキャッシュレス化というのは時代の要請であり、また必然ではなかろうかと思う訳だ。
ちなみにQUICPayの身近な加盟店は、まだ福岡空港内のレストランとロイヤルホスト、九州道の一部のサービスエリアくらいしかないので残念ながら未使用。セブンイレブンも2007年度中の対応を表明したが、いつになったら日の目を見る事やら。
ライダーの立場からすれば、高速や有料道路の料金所にこそ非接触ICカードを早く導入して欲しいのだが…。わざわざETCでなくてもタッチ&ゴーできるだけで効果は大きい。
【参照】
●JCB http://www.jcb.co.jp/
┗JCBとイオンクレジットサービス、非接触ICカードおよびiモード FeliCaサービスを活用した新決済サービス「QUICPay(クイックペイ)」を共同開発 2004年7月
●QUICPay http://www.quicpay.jp/
●ITmedia +D http://plusd.itmedia.co.jp/
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┣QUICPayで儲けようとは思っていない――JCBの戦略(後編) 2006年3月8日
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