収まるどころか予想以上のスピードで波紋が広がりをみせている一連の違法建築物件。
口裏を合わせたかのように「悪いのは姉歯独り」だとでも言いたげな関係者の「知らぬ存ぜぬ」のスタンスは概ね予想通りだったが、やはり姉歯氏は施工主から契約を盾に圧力をかけられたりしていたらしい。asahi.comの記事によると
関係者によると、姉歯建築士が、圧力をかけられたとして名前を挙げたのは、施工会社の木村建設(熊本県八代市)と開発・施工会社のヒューザー(東京都千代田区)とシノケン(福岡市)の3社。仕事上の付き合いと言うか力関係から断れなかったんだろうが、1級建築士の誇りをかけて技術者としての良心を貫き通す勇気を忘れないでいて欲しかったところだ。
また某社長が「姉歯物件の方がコストが高くついている」との弁明していたのを聞いて「もしや?」と思ったのだが、思った通り姉歯への支払いを上乗せしてキックバックさせる不正経理があったという報道も出始めた。知らぬは社長ばかりなりけりという事か?
でもどっかの部長さんが私腹を肥やしたのならまだ社長の面目が潰れる程度だが、組織的な工作で政治献金とかに流れていたようならこれまた新しいスキャンダルに発展したりして。
博多の森球技場にて |
自治体が建築確認を行った平塚市のホテルや、長野県、台東区でも確認漏れが見つかってしまい、開口一番「民民の事案」と言い放ってしまった国交省のお役人の不安的中。これまでに登場しているプレイヤーに留まらず、日本の建築業界全体を揺るがしそうな勢い。
しかし、本年度上期に127億を売り上げた熊本最大手の建設会社がわずか1週間足らずで破産に追い込まれてしまうという脆弱な体質には驚いた。この後、第2第3の木村建設が現れないとも限らない。
税金を投入してまでメガバンクを救った我が国の政府がどういう行動をとるのか、今後の展開には注目したい。
話は変って、日経の記事では「ISO9001を取ってたのにこのザマかよ」と言わんばかりだが、ISO9001ってば「品質確保の手順や仕組みを明文化して実施してますよ」という認証であり、必ずしもそれによって産み出される製品やサービスの品質を保証するモノではないという事を理解していないような印象。
少しでも綻びが見えれば、取り敢えず叩くというマスコミの風潮もイヤな感じ。
【参照】
●google news http://news.google.com/
┗"姉歯建築設計事務所"で検索
●asahi.com http://www.asahi.com/ >> ◆マンション耐震強度偽装
┣「鉄筋減らせと圧力」 聴聞会で姉歯氏説明 業者は否定 2005年11月25日
┣耐震偽装、自治体検査も通過 平塚の「姉歯」担当ホテル 2005年11月25日
┗自治体の偽装見逃し次々 長野、台東区でも計3件 2005年11月25日
●NIKKEI NET http://www.nikkei.co.jp/ >> ◆耐震強度偽造問題
┣ヒューザー、8月にISO9001を取得 2005年11月23日
┣木村建設、月末にも自己破産申請へ・解体作業も困難に 2005年11月24日
┗建築士、専門別に・国交省──偽装問題受け認定制度検討 2005年11月25日