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Last-modified: 2024-03-20 (水)


[一語一絵]

最悪 / 2004-04-15 (木)

一時は楽観的な雰囲気に包まれたイラクの邦人拘束事件。ハイジャック等の予期しない犯罪とは違い、危険が予想される地域に3人は覚悟して踏み入ったであろう事を考えても、躊躇せず犯人側の要求を蹴った政府の毅然とした態度は理解できる。

もしここで迷うような印象を与えたならば、犯人側は圧力をかける為に邦人拘束を強化する事が考えられる。だからと言って邦人拘束がこの3人に留まるという保証も無いのだが確率の問題だ。と書いたハナからまた2人のジャーナリストが拘束されたという報道には驚いた。

ただしNGOに限らず記者や自衛隊員が拘束されるという事態は、アメリカを支持し自衛隊派遣を決めた段階で容易に予想できたシチュエーションである。にも関わらず事態がここまで混迷を極めるというのは奥大使というパイプを失った痛手を露呈しているように思える。

一方で最悪の結果を覚悟の上で足を踏み入れた本人はともかく、残された家族・関係者の心労はいかばかりか察するに余りある。「勝手に入国しておいて助けてくれというのは身勝手で許せない」という意見もわからなくはない。あれだけの政府関係者が動くだけでもかなりの税金が余計に使われているのは間違いないし。だからと言って嫌がらせや誹謗中傷を浴びせていいわけではなく、こちらこそ許すわけにはいかない卑怯な行為だ。

ところで拘束された3人が覚悟した最悪の結果というのはどういったものだろうか?自分達の命が奪われるという結末で留まっていたとすれば些かお粗末な想像力だと思う。拘束されたあと救出活動が難航し自衛隊が出動、その結果不幸にも双方やイラク市民に犠牲者が及ぶ、という最悪の展開を考えると日本で待つ家族はもとより政府関係者や自衛隊員の家族など、多くの人々に波紋は大きく広がる事は想像に難くない。もっとも、そこまで想像できていれば自衛隊ですら駐屯できない戦闘地帯に入るようなリスクを犯す事はできなかっただろうなぁ。

「民間だからとか、市民の為に活動しているのだから」という心情や背景を理解してくれる人ばかりだとは限らない。政府も含めてみんな甘いのでは無いだろうか。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、と昔から言うではないか。向こうはまだ戦争状態なのだから。

20時45分、アル・ジャジーラによって人質3人の開放・保護が伝えられ、日本政府によって確認された模様。何はともあれ久々の良い知らせだ。

参照
田中宇の国際ニュース解説
アル・ジャジーラ(アラビア語)-もちろん読めませんf(^^;;