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Last-modified: 2024-04-08 (月)


[一語一絵]

赤の発見 青の発見 / 2002-09-16 (月)

福岡は昼前から久々にまとまった雨。二丈町の立篭り事件で亡くなった少女と遺族の涙雨か?。それにしても何ともやるせない事件だった。合掌。

面白くないニュースばかりの中でちょっと気になったのが、味の素の元社員が「発明に対して正当な対価を受け取っていない」として起した訴訟。味の素はアスパルテームを発明した功績に対して元社員に1000万円の報酬を払ったそうだ。確かにアスパルテームによって得た利益からすると少ないと文句が言いたくなる気持ちもわかるが、いずれにしろ我々平民からすると羨ましい数字だ。

今日はたまたまこの手の訴えの先駆けとなった青色発光ダイオード訴訟を起した中村修二氏岩手県立大学学長の西澤潤一氏が書いた[External]『赤の発見 青の発見』という本を読んでたところだったのだが、青色発光ダイオードの発明に関して中村氏日亜化学工業から得た対価は特許出願・登録時の1万円ずつだけだと言う。しかも退職時に「今後3年間は窒化ガリウムの研究・特許出願をしない事」という条件にサインしなかった為に退職金もゼロだったと言うほど冷遇されていたらしい。ちなみにこの青色発光ダイオード訴訟に関しては、9/19に東京地裁で判決が言い渡されるので注目したい。

そういうわけで今回の味の素の件を中村氏の件と一緒に論じるのは甚だ乱暴だと思うが、いずれにしろ提訴にまで至った理由としてはお金の問題だけではないような気がする。

日本で最もノーベル賞に近いといわれるふたりの書いた[External]『赤の発見 青の発見』という本、学術的・理論的な事はさっぱりわからないが、半分以上は教育論や日本の会社や学会という閉鎖的な組織の中でのエピソードなどに割かれていて、専門知識が無くてもなかなか面白く読める本である。

参照
asahi.com
 -発明報酬、味の素訴訟「20億円」の波紋広がる
パテントサロン
 -青色LED特許紛争 −中村修二 vs 日亜化学−
白日社
 -『赤の発見 青の発見』